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おそうじのじかん/ウサギとブルマと握られた拳 ◆02i16H59NY ――それは、無惨な有様だった。 薄桃色の消火剤で一面粉っぽい廊下の中に、見るからに毒々しい、赤黒い沼がある。 それは血だ。既に乾きかけ固まってしまった、血の海だ。 窓から差し込む、残酷なまでに明るい陽の光が、そこにあるものを仔細余さずくっきりと浮かび上がらせていた。 大きいものでバレーボールほど、小さいものでピンポン玉大の肉片が、無秩序に血溜まりに浮かんでいる。 少し離れた所に転がっている両手首のように、綺麗に原型を留めているものもある。 切り口からどろりと臓器らしきものを零れさせた、たぶん胴体の一部なんだろうなと思える部分もある。 べっとりと血に濡れた服の切れ端を張り付かせた、それだけではどこのパーツか分からない塊もある。 目元に生前の印象を残した、頭部の一部。 その鼻の下にあるべき口はなく、ぺたん、と直接床に接してしまっている。まるで地面に穴を掘って埋まっているかの如き光景。 しかし、傍らに溢れている脳味噌らしき物体が、その無邪気な夢想を完全否定する。 骨の断面が見せる純白が、日差しにまぶしい。 呆れたことに、人間1人を丸ごとブツ切り肉の山にしたその暴力は、骨も服もまとめて切断しているようだった。 人が通れそうなほどの穴を見せる、割れたままの窓。 そこかしこにキラキラと、鋭利なガラスの欠片が落ちている。 光っている中にガラスと違う質感のものがあるな、と思ってよくよく見たら、それは包丁だった。 無造作に転がる、赤い消火器。 そのホースは死んだ蛇のようにのたうち、ノズルの先端には一際濃い汚れが残されている。 窓と反対側の壁際には、なんと拳銃らしきものまで落ちている。 暗闇の中では見落としそうな黒鉄色の塊は、陽光溢れる今の時間帯、むしろ気付かずには済まない存在感を放っている。 いったい、ここで何が起こったのか。 誰と誰がどのように争って、どのような結末になったのか。 分かっているのは、既に決定的に「手遅れ」であるということだけ。 上条当麻は、やり場のない想いに拳を硬く握り締めることしかできない。 「くそっ……! なんだって、こんなことっ……!」 上条は憤る。 覚悟がなかったわけではない。 先の放送では既に10人の名前が読み上げられていたし、その中には知った名前も含まれていた。 だから、死臭を感じて走り出した時には、半ばこの展開を予想していた。物言わぬ死者との対面は、予見できていた。 けれど……何故。 何故、ここまで死体を切り刻まなければならないのか。 明らかにオーバーキルな損傷。上条は血や肉片を踏まないよう注意しながら、その傍らに膝をつく。 「こいつは……ワイヤーによる切断、か?」 知らずのうちに、言葉が漏れた。 この蛮行、どうやら、極細の鋼線か何かを巻きつけた上で、思いっきり強く速く『引っ張った』結果によるものらしい。 至近距離で切断面を観察して、確信した。 いや、直感した、とでも言うべきか。 あるいはそれは、記憶喪失の上条当麻の、記憶を失う前に得ていた『知識』による判断だったのかもしれない。 ともかく、上条当麻には分かってしまった。 これは、ワイヤー、あるいはピアノ線のような糸による凶行だ。 つまり、この惨状を作り出した犯人は、糸、あるいはそれに類する『武器』を使う人物だということになる。 ……そこまで察して、ようやく上条は気付く。 いまさらながらにして、思い至る。 この学校で出会った、2人の少女の存在。 こんな悲惨な現場、女の子に見せていいものではない。 気遣いが遅れたのは、上条自身も動揺していたせいか。 それでもすぐに2人を遠ざけようと、上条は振り返って、 「……あれ?」 1人いない。 人の背中に隠れるようにしていた、そういえば刺激的過ぎる格好の、半裸の『喋れない女の子』が、いなくなっていた。 どこに行ったんだろう、とキョロキョロと見回していると、 「……あんたさぁ」 その場に残っていた、もう1人が。 川嶋亜美が。 ぼそりと、言った。 「あんた、くさい。まだ臭う。ひどく臭う。ドブくさい。だから、いますぐどっか消えて」 「ちょっ……か、川嶋さんっ!? そりゃ流石に酷い言い草じゃありませんかぁっ!?」 あまりに平坦な声で告げられた、あまりに執拗であまりに唐突な『臭い』の指摘。 そりゃあ下水道突破してきた臭いはすぐには取れない。取れないけれども。 今はそれどころじゃないだろ、てか、なんでまたソレを蒸し返すんですか――と抗議しかけて、上条は気がついた。 気付かされてしまった。 「こいつ……この、高須くんってさぁ。 こう見えて、すごい綺麗好きでさぁ」 川嶋亜美は、淡々と語る。 上条の方を振り返りもせず、悲しむでもなく、泣くでもなく、怒るでもなく。 ただ静かに、語る。 過去形ではなく、現在形で、語る。 「なんかねー、男のくせに、料理から掃除から何から、家事万能でさ。 そのせいなのかこいつ、いつも掃除用具持ち歩いてんの。鞄の中に。 で、学校でもちょっと汚れてるとこ見つけると勝手に掃除始めて。回りの人間にも、手伝わせたり。 あたしも、何度か無理やり高須棒――あ、『高須棒』って、高須くんお手製の掃除道具ね――を、握らされてさァ。 亜美ちゃん、モデルの仕事あるから手ェ荒れるようなのダメだって言ってんのに。しつこくって」 「…………」 モデルなのかよ、と突っ込みかけて、上条は口をつぐむ。 そんな軽口を叩ける空気では、もはやなかった。 かける言葉が、見つからなかった。 亜美の唇が震えている。 泣き崩れることも、叫び散らすこともできない少女の唇だけが、音もなく、しかし見て分かるほどに、震えている。 「だから――あんたみたいなのが、上条くんみたいに汚い格好の奴が、ここに居ちゃだめ。いますぐ、どっか行って。 お願いだから……1人に、して」 「…………」 「ついでにさ。あんた、シャワーでも浴びてサッパリしてきたら? まだ見てきてないけどさ。ここ学校なんだから、体育館かどっか、きっとその辺にあるでしょ。 自分じゃ鼻がバカになってるのかもしれないけど、あんた、ほんと臭うよ。10メートル先からでも臭いで分かっちゃうよ。 悪いこと言わないからさ。その臭い、なんとかしなよ。 でないと、きっとどっかで『高須くんみたいに』なっちゃうよ。別に、あたしの知ったこっちゃないけどさ」 それでいて、こんなことを言うのだ。 自分自身もいっぱいいっぱいだろうに、上条の身を案じるようなことまで言うのだ。 臭いのせいで殺人者に不利な形で遭遇するかもしれない、だから手を打っておいた方がいいよ、と忠告までしてくるのだ。 「……クソッ!」 小さく吐き捨てたのは、己の無力感に対する怒り。 死体、という圧倒的な『現実(リアル)』を前に、『幻想殺し(イマジンブレイカー)』の右手は何の役にも立たず。 『幻想殺し』の少年は、少女と、かつて少年だったモノをその場に残して、踵を返すことしかできない。 ただその場を立ち去ることで、少女と死者の対面を穢さぬようにすることしかできない。 そのまま、上条は亜美の隣を通り過ぎ、来た道を引き返し、廊下の角を曲がろうとして―― ふと思いついて、立ち尽くす亜美の背中に声をかけた。 「なあ、川嶋」 「……何よ」 「お前……それで、何するんだ。俺がシャワー浴びてる間に、お前……何するつもりなんだ?」 「……あんたさぁ、いったい何聞いてたのよ。決まってるでしょ、そんなこと」 上条の問いに、亜美はふわりと髪をなびかせながら振り向いて。 儚げな微笑さえ浮かべて、静かに答えた。 「このままじゃ、高須くんに怒られちゃうもん。お掃除、しなくちゃね」 ◇ ◇ ◇ もちろん、そのままシャワーを浴びにいった。 「……ちくしょうっ!」 体育館に付属した男子更衣室、そこに隣接したシャワールームの中。 裸でお湯の雨に打たれながら、上条当麻は固い壁に拳を叩きつける。 異能であれば神の奇跡だろうと打ち砕く、上条当麻の『幻想殺し』。 その力は、しかし、こういう状況においては完全に無力。 傷ついた女の子1人、支えることもできない。 こんなことをしている場合ではない。上条は思う。 こんなところで呑気にシャワーなど浴びてる場合では、本当はない。 川嶋亜美も、あのまま1人にしておいていいとは思えない。 今も1人で温泉に向かっているはずの千鳥かなめのことも心配だ。 死体発見とほぼ同時に姿をくらませた、裸の『喋れない女の子』のことも気になる。 未だ会えずにいる、インデックスや御坂美琴のような知り合いのことも考えなければならない。 本当なら、自分の身だしなみなんて後回しで、寸刻惜しんで走り出さなければならないはずだった。 けれども―― 上条もまた、余裕がなかった。 修羅場なら何度も潜ってきた。命がけの戦いなら幾度も乗り越えてきた。三途の川を渡りかけたのも、1度や2度ではない。 だけど、今回のこれは。 頑張って上条が走って追いかけても、その拳の届かないところで事態が進行していく。 同時並列的に、人々が死んでいく。拳1つ、身1つではどうしようもない形で、悲劇が生まれ続けている。 『こいつさえ止めれば全てが終わる』ような、分かりやすい大ボスもない。あの狐面の男だって、そういうポジションではない。 いつものトラブルとはまったく勝手の異なる状況に、さしもの上条当麻も、心が折れそうになっていた。 完全に、空回っていた。 でも、だからこそ。 「けど……だからって、このまま落ち込んでいられるか!」 温かい滝に打たれながら、彼は両手で頬をパシッ、と叩く。 もう十分落ち込んだ。もう十分休息は取れた。障害物競走のような地下からの脱出で疲れきった筋肉も、多少はほぐれた。 シャワーを浴びてサッパリして、頭の中身もスッキリした。 トレードマークのツンツン頭は水に濡れてしおれているけど、心は逆に元気を取り戻している。 上条当麻は、改めてシャワーを勧めてくれた川嶋亜美に感謝する。 きっとあのまま走り続けていたら、上条はどこかつまらないところでつまづいていただろう。 それこそ、臭いで存在を察知され、一方的な不意打ちを受けていた可能性もある。 上条当麻はシャワーを止めると、傍らに引っ掛けてあったタオルを手に取る。 「けど……川嶋には、今はしてやれることがねぇな……」 その恩人・川嶋亜美は、しかし今は上条のことを必要としてはいない。 悔しいけれども、今はむしろ距離を置くことが求められている。故人と向き合う静かな時間を、邪魔しないことを望まれている。 ならば今すぐ、温泉に向かったであろう千鳥かなめとの合流を目指すべきか。 いや、それよりも。 共通支給品のタオルでゴシゴシと身体を拭きながら、上条は更衣スペースに放り出しておいた自分の荷物に歩み寄る。 残念ながら、今まで着ていた制服は諦めるべきだろう。 せっかく身体が綺麗になったのに、悪臭をたっぷり吸った服を着ていては川嶋亜美の忠告も無駄になってしまう。 上条はデイパックの中から短パンと運動用のシャツ、つまり、体操着のセットを引っ張り出す。 彼の支給品の1つだ。これを幸いと見るか、それとも武器でもないものを引き当てた不幸を嘆くべきかは、少し迷うところである。 流石に下着と靴は換えがないからそのままだ。 この程度ならさほど臭わないはず。いや、そうであることを祈るしかない。 一通りの身支度を整えた上条は、そして、自分が着用した体操服と共に出てきたモノを握り締めて、呟いた。 「そうだな……『あっち』の方も、放っておけないな」 ◇ ◇ ◇ もちろん、そのまま掃除を開始した。 なにせ学校である。掃除用具の置かれた場所など、どこでもそう大差はない。大して迷うこともなかった。 用務員室も覗いてゴミ袋とゴム手袋も確保し、掃除用ロッカーからモップや雑巾、バケツなどを確保して。 川嶋亜美は、たった1人、廊下での大掃除を開始する。 大小さまざまの肉片は、手袋をした手で拾って、それ専用と決めたゴミ袋の中へ。 棺桶か何か、もっと相応しい入れ物があればよかったのだが、ここは仕方がない。 身体のどこの部分に当たるか見当もつかないパーツも多いのだ。 心の中で無礼を詫びつつ、片っ端からビニールの袋の中に放り込んでいく。 煮こごりのようにプルプルと固まりかけた血液も、取れるだけ取って同じ袋の中へ入れる。 途中で気がついて、血に濡れていない髪の毛を一房、より分けて切り取っておく。 せめてもの形見にと考えた、高須竜児の遺髪だ。 丁寧にメモ用紙で折って畳んで包み込んで、『高須竜児』と名前を書いておく。 これはそれ以上汚さないよう、丁寧に荷物に仕舞っておく。 可能であれば、これはあの若い高須家のお母さんの所に届けてあげなくちゃ。 自分のするべき仕事にも思えなかったし、自分で届けることに拘るつもりはなかったが、亜美はそんなことを少しだけ思う。 拾えるだけの肉片を拾い尽くすと、ゴミ袋3個分にもなった。 容積だけ考えたら無理やり1つの袋に詰めることもできたろうが、それではあまりに重たすぎる。袋の方が持たない。 万が一にも破けて零れないよう、全て袋を二重に重ねて、それから口を縛る。 これらの『かつて人間だったモノ』は、ちゃんと葬るときが来るまで、少し脇に置いておくことにする。 肉片は拾い終わったが、まだ廊下は汚れまくっている。 流れ出た血液、よく分からない体液、それに、撒き散らされた消火器の消火剤。割れたガラスも、そこかしこに。 まずは明らかな落し物からだ。 包丁と拳銃は拾って、表面の汚れを拭い去ってから自分の荷物の中に。 使う気はないが、それでも手元にあれば便利なこともあるかもしれない。 空っぽになった消火器は、少し迷った末に、軽く拭いた後に廊下の片隅に立てておく。 どこから持ってきたものか分からないけれど、まあ、それっぽく置いておけば見苦しくもないだろう。 割れたガラスの破片は、用務員室から持ってきた古新聞紙で包んで怪我しないように。 窓枠に中途半端に残された尖った破片も、丁寧に折り砕いて取り除いておく。 建物の外、屋外に飛び散ったガラスも、わざわざ外に回って同じように。 細かい破片は、ほうきとチリトリで丁寧に掃きとる。 幸い、眩しい陽の光に照らされて、小さなカケラでもキラキラ光って見落とすことはない。 さあ、こうなると後は、消火剤と血の海だけだ。 お手洗いから水を汲んできて、モップを濡らして水拭きをしていく。 うっすらピンクの消火剤は、濡れモップの一拭きで驚くほど綺麗に取れる。 床にこびりついた血液は、これはかなりしつこい。何度も何度も、こそぎとるようにしてやる必要がある。 すぐにモップが汚く汚れていく。そのたびにモップをすすぎ、洗い、水を汲み直すことになった。 それでも小一時間ほどの奮闘で、あたりはガラリとその様相を変えていた。 壁面に飛び散った消火剤も、濡れ雑巾で全部拭き取ったし。 よくよく目を凝らせば床に僅かに血の染みが残ってしまっているけれど、そうと思って見なければ分からない程度にはなった。 既にもう、知らない人が見たらここに人間1人分のミンチ肉が積み上げられていたとは思えない光景。 最後に亜美が取り出したのは、細く長い棒の先に布が輪ゴムで留められた奇妙な道具―― 『高須棒』。 何の巡り合わせか、川嶋亜美の支給品の1つとして、10本1セットで用意されていた品である。 それを持って、丁寧に、拭き残しの汚れを拭い取る。 窓の桟、床と壁の継ぎ目の角、小さな凹凸の縁。 細かな汚れも許さない執拗さで、川嶋亜美は掃除に熱中する。 彼女らしくもなく、軽口ひとつ叩かず、黙々と目の前の仕事に集中する。 そうして、しばらく作業を続けて――とうとう、やることがなくなってしまった。 1枚だけすっぱりと抜けた『窓ガラスのない窓』以外に、痕跡らしい痕跡を残していない綺麗な廊下。 時間を確認すると、これだけきっちり掃除したというのに、大して経っていない。 あの学校に転校してくる前の川嶋亜美なら、ここまで手際よく片付けることはできなかったろう。 全てはあの、異様なまでの潔癖症の、極悪顔面魔王のせいだ。 逃げられる時には要領よく逃げ回っていた彼女だったが、知らないうちにかなりのお掃除スキルを仕込まれていたらしい。 全身を包む、心地よい疲労感。 気のせいか、外から流れ込む空気さえも爽やかに感じられる。 なるほど、彼はこの達成感のトリコになっていたのか。 亜美はいまさらながらにして故人の心を知る。確かにこれは、クセになってしまうかもしれない。 「ま、可愛い可愛い亜美ちゃんには、掃除のおばさんみたいな地味ぃ~な仕事は似合わないけどさ」 見るものもない無人の廊下で、亜美は小さくおどけて見せる。 こんな人を舐めきった発言をしても、廊下の片隅に積み上げた3つのゴミ袋が反応してくれないことが少しだけ寂しい。 そして亜美は、小さく溜息1つついて、その3分割された生ゴミ同然の高須竜児を、自分のデイパックの中に詰め込み始めた。 ◇ ◇ ◇ 微かな風が屋上を吹き抜けて、姫路瑞希は思わず小さなくしゃみをした。 「……くちゅんっ」 学校の屋上。 お日様がぽかぽかと暖かく、膝を抱えて座っているとついつい眠気を催してしまう。 それでも、流石に今の彼女の格好を考えると、快適とまでは言い切れないようだ。 なにしろ、素っ裸の上に男物の上着を羽織っただけの姿。 こんな姿で誰に見られるかも分からぬ街の中を彷徨っていたのだ、と思うと、思わず赤面してしまう。 手にした2つのデイパックをギュッと抱え込むが、その程度で彼女の豊かな身体が隠しきれるものでもない。 姫路瑞希は、溜息をつく。 また、逃げ出してきてしまった。 遠目に無惨な死体を見つけた時点で、川嶋亜美と上条当麻をその場に残して逃げ出してきてしまった。 もともと、亜美と遭遇したのも、あの『死の気配』に怯えて逃げてのことである。 1人になるのは嫌だったが、それ以上に死体と向き合うのが怖かった。 自らの罪と罰とを思い出させる、物言わぬ死体を直視する勇気が持てなかった。 だからといって、逃げ出すアテがあったわけではない。 むしろ学校というこの空間は、姫路瑞希にとって数少ない過去を思い出せる場所だ。 制服も、靴も、下着さえも置いてきてしまった彼女にとって、この聖域は手放し難いものがある。 だから、上に向かって逃げた。階段を駆け上って、縦方向に距離を置こうとした。気がついたら、屋上まで来てしまっていた。 どことなく文月学園の屋上を思い出させる、何のヒネリもない学校の屋上。 学校の屋上なんて、どこの学校だろうと大して違いはない。階段室を背に座り込んで、ぼんやりと空を仰ぐ。 ともすれば階下に死体が転がってるだなんて忘れそうになる、嘘みたいに澄んだ青空。 「…………」 いや。過去との絆は、他にも残されていたっけ。 瑞希はふと気がついて、己の左耳に手を伸ばす。 ……そこに、ウサギの顔をかたどった、ファンシーな髪留めがあった。 大したものではないが、ちょっとした思い入れのある一品。 お風呂に入る時には外すのが常であったのだが、呆れたことに、温泉に入る際にはうっかり外すのを忘れていたらしい。 朝倉涼子にあんな目にあわされた時にも外れなかったのは、運が良かったと言わざるを得ない。 思い出してしまった彼女は、ギュッとウサギの髪留めを握り締めた。 辺りは静寂に包まれている。 恐怖の記憶に震えていた彼女も、手の中の髪留めの感触に、ゆっくりと落ち着きを取り戻す。 太陽の日差しを浴びて温められたコンクリの床が、裸のお尻にほんのりと温かい。 これからどうしよう。姫路瑞希は途方に暮れる。 相変わらず声は出せないようだが、その知性までが損なわれたわけではない。 さっきまでは自分の格好に気を払う余裕もなかったが、それだって、落ち着いてくれば考えを巡らす余地もできる。 あの2人はどうしたのだろう。 いまさらながらに、姫路瑞希は考える。 まだ下にいるのだろうか。だとしたら、合流した方がいいのだろうか。 ああでも、その前に着るものを探さないと。僅かとはいえ冷静さが戻ってきた今、この格好は恥ずかしすぎる。 特にあのツンツン頭の男の子にはあまり見られたくはない。吉井明久にだってまだ見せたことはないのだ。 ――そんなことを考えていた、矢先だった。 「…………ッ!」 聞こえてきたのは、足音だった。 階段を駆け上がってくる、乱暴な足音。荒い息遣い。間違いなく、この屋上に向かって階段を駆け上がってくる者がいる。 瑞希は思わず身を硬くする。 袋小路の屋上からでは、もう逃げようにも逃げ場がない。フェンスを乗り越えて飛び降りるわけにもいかないだろう。 立ち上がることもできず、反射的にギュッと身を縮めて、目をつむる。 やがて足音と息遣いは、屋上に到達して―― 「――あー、その、なんだ」 聞こえてきた声は、確かについさっき聞いたものだった。 瑞希は顔を上げる。 そこに居たのは―― 「常々この上条さんは紳士でありたいと思っているわけですが、それ以前に健康な男子であるわけでして。 差し出がましいかもしれませんが、ちょいとコイツを着て頂けるとありがたいかなー、なんて思ったり思わなかったり…… って、こっちの言葉は分かるんだよな? 喋れないだけだよな?」 そこに居たのは、顔を真っ赤に染め、困ったように視線を逸らしつつも、なにやら服らしきものをこちらに差し出している。 服装こそさっきと違っていたが、確か、上条当麻とか名乗った、男の子だった。 ◇ ◇ ◇ ガラスの破片などをゴミ捨て場にきちんと分別して置いて来たら、もう、学校に留まっている理由がなくなってしまった。 川嶋亜美は、そのままあっさりと校門から外へ出る。 さっきの2人がどこに行ったのかは、亜美も知らない。 掃除が終わった頃、一度だけ体操着姿の上条当麻がやってきて、『喋れない女の子』を見なかったか、と尋ねてきたが。 知らないわよ、と首を振ってやったら、またどこかに向かって駆け出していってしまった。 なんとも騒々しい奴だと思う。 ついでにあのタフネスは何なのだろう。亜美が見かけるたびに走っているようだが、疲れないのだろうか。 まあ、亜美にとってはどうでもいいことだった。 「祐作の方は、どーしよっかなぁ……。高須くんの件が一段落してからで、いいかなぁ……?」 上条当麻の話によれば、幼馴染である北村祐作は、ここからもそう遠くない所にある温泉で留守番をしていたはずだと言う。 探しにいけばすぐにでも『会える』のかもしれないが、なんとなく、焦る気にはならなかった。 亜美は肩から提げたデイパックに目を留める。 どういう仕組みなのか、容量も重量も無視できるこの鞄の中には、『高須竜児だったモノ』が入っている。 3つのゴミ袋に分けて、それぞれ袋2枚重ねの厳重な体制で、とりあえず収まっている。 さてこの『高須竜児だったモノ』、どうやって『お別れ』するべきか考えて、亜美は少し困ってしまった。 このまま、あの若い高須家のお母さんの所に持ち帰ってあげることも考えた。 ……流石にそれは悪趣味が過ぎる気がして却下。あと、なんか腐っちゃいそうだし。遺髪があればそれで十分でしょう。 そこらの土を掘り返して、土葬に伏すことも考えた。 ……五体満足揃った遺体ならそれでも良かったのだろうが、死体がこの有様では生ゴミの不法投棄みたいな絵になってしまう。 ちゃんときっちり火葬して、お骨を拾っていくことも考えた。 ……並大抵の火力では、たぶん足りないだろう。仮に火葬場なんてものが見つかっても、素人の手に負える気がしない。 いろいろなお葬式の方式を思い浮かべて、最終的に亜美が選んだのは。 水葬、という、少し馴染みの薄い単語だった。 遺体を海や川に流す。自然に還す。 自然界の食物連鎖の環の中に戻して、広く果てしない海とひとつになる。 思いついてみれば、なるほど、あの高須竜児には相応しい『見送り方』のようにも思える。 正式な作法もやり方も知らないから、やっぱりゴミの不法投棄みたいな格好になってしまうのかもしれない。 が、そこは大目に見てもらおう。 「この亜美ちゃんが、わざわざやってあげようってんだからさー。むしろ、感謝しなさいよー。まったくさぁ」 呟いてみても、返事はない。 当たり前だ。ここで返事があったりしたら、逆に怖い。 それでもここであったらな、と思ってしまうのは、亜美のわがままなのだろうか。 さて、それで高須竜児は水葬に伏すとして。 『これ』、どこにもって行こう。ここからだと近いのは海か。川まで行くのはかえって面倒だ。 一番近い水場と言えばお堀だが、しかしそこに捨てていく気にはなれない。 なんだか流れも淀んでいそうだし、自然に還る、という感じがしない。 亜美はぼんやりと天を仰ぐ。 嘘くさいほどに晴れ上がった、青い空。 たったひとり、見るともなく空を見ながら。 演技抜きの涙って意外と出ないもんなんだなあ、と、亜美はどこか他人事のように思っていたりするのだった。 【E-2/学校・校門前/午前】 【川嶋亜美@とらドラ!】 【状態】:健康 【装備】:グロック26(10+1/10) 【所持品】:デイパック、支給品一式×2、高須棒×10@とらドラ!、バブルルート@灼眼のシャナ、 『大陸とイクストーヴァ王国の歴史』、包丁@現地調達、高須竜児の遺髪、高須竜児の遺体(ゴミ袋3つ分) 【思考】 基本:高須竜児の遺髪を彼の母親に届ける。(別に自分の手で渡すことには拘らない) 1:遺髪以外の高須竜児の遺体を、海か川に流して『水葬』する。 2:温泉にいたはず、という北村のことが気になる。このまま温泉に寄る? 高須竜児の水葬の後にする? 【備考】 学校の1階廊下にあった「高須竜児の死体」及びその痕跡は、綺麗サッパリ掃除され、ほとんど残っていません。 せいぜい、割られた窓ガラスの跡が抜けているだけです。 【高須棒@とらドラ!】 川嶋亜美の最後の支給品。 高須竜児オリジナルの掃除用具。 棒?に布切れ?を輪ゴムで止めただけの簡単な道具だが、細かい隙間の掃除に驚くほどの威力を発揮する(らしい)。 布は何度も洗濯して繰り返し使用する。 高須竜児はこれを常時複数持ち歩き、学校の教室の窓の桟などの掃除に利用していた。 なお、布の方を握ればちょうど耳掻きとして適切な長さと太さであるらしいのだが、この使用法はいささか危険でもある。 10本セットで支給。 ◇ ◇ ◇ 上条当麻が屋上にまで上がってきたのは、風に乗って、小さな小さなくしゃみが微かに聞こえてきたからだった。 川嶋亜美は、上条の助けを要する状態にはなかった。けれど、もう1人はそうとも限らない。 どこに行ったのかは皆目見当もつかなかったが、なにしろあの格好に裸足である。 まだ校内のどこかに留まっているという推測は、見事に当たった。 多少、無駄に走り回って時間を浪費したものの、こうして彼女を発見し、こうして『服』を手渡すことができていた。 上条当麻の支給品の1つ、『御崎高校の体操服セット』。 それはどういう意図だったのか、男子用と女子用、それぞれ一揃い入って支給品1つ、という扱いであるらしかった。 男女のどちらに渡っても問題のないように、という配慮だったのだろうか? 何にせよ、この場においては有難い。 上条が男物の短パンとシャツを着て、女物の方を『喋れない女の子』に渡すことができる。 問題は……。 (ちょっ、これ、ハンパねぇっ! 紳士を名乗った以上は紳士を貫きたい上条さんですが何これ何だこれ何だか凄くデケぇ!? しかもまがりなりにも服をゲットしたお陰かご本人ガード緩くなってねぇか? ってか絶対本人この破壊力に気付いてねぇぞ! それになんだよおおいっ、今どきブルマなんて穿かせる学校残ってんのかよ!? 露出度的にはこれ完全にパンツじゃん! こんなモン旧時代の遺物かコスプレかえっちぃ雑誌でしか見たことなかったけど、ヤバいってこれ! 犯罪だって!!) 「…………??」 体操服をちゃんと着終えた、たぶん同年代の少女が不思議そうな表情で見上げてくるが、上条としてはそれどころではない。 いやがおうにも、見てしまう。見えてしまう。 何か思い入れでもあるのか、体操着の上から、さっきまで素肌の上に羽織っていた男物の上着を着込んだ少女。 先ほどまでは申し訳なさが勝って直視を避けてきたその胸元は、凶悪なまでのボリュームでシャツを押し上げている。 正確なサイズなど見当もつかないが、上条の知り合いの女子たちと比べてみてもトップ5には入ってきそうな恐るべきサイズ。 もちろん上条に女性用の下着の持ち合わせなどあるはずもなく、つまりは今、彼女はノーブラということで……! 慌てて視線を逸らすも、今度は女性解放運動で歴史に名を残したブルマー女史の名を冠した穿き物が視線を吸い寄せる。 女性らしく適度な脂肪の乗った、抜けるように白い太ももと、鮮やかな赤色の布地のコントラストが目に眩しい。 もちろんこれも下着はなかったはず。つまり、やむを得ずの直穿き。そう気づいてしまえば、些細な陰影もまた違う意味を……! 「ええい最終手段っ! 幻想殺し(イマジンブレイカー)目潰しっ!」 「っ!?」 目の前の少女が息を飲む気配が聞こえるが、この緊急事態、構っている余裕はない。 あらゆる幻想(というか、この場合は妄想)をブチ壊す右手の2本指によるセルフ目潰しで、上条当麻はかろうじて己を保つ。 もちろん手加減した上での一撃。間違っても失明するようなダメージではない。 が、その瞬間的な痛みと一時的な視覚遮断によって、彼はなんとか冷静さを取り戻すことに成功した。 「……あー、この場合は仕方なくのことであってですね。上条さんは別にマゾってわけではないのですよ? ホントですよ?」 「……ぅーっ??」 「まあいいや。それはそうとして……少し、聞きづらいこと聞いてもいいか?」 「…………」 ひとりボケコントから一転、急にシリアスに転じた上条は、真剣な表情でウサギの髪留めをつけた少女の顔を覗き込む。 少しだけ、怯えたような気配。迷っているのか、あてもなく彷徨う視線。 それでも、服を貰った恩を感じたのか、上条の真摯な問いかけに根負けしたのか。こくり、と頷いた。 上条は問う。 「その『声』……喋れないってのは、昔っからなのか? 元々なのか?」 (フルフル) 「じゃあ……ここに来てから、なのか? ここ、つまり、このふざけたゲームが始まってから、なのか?) (コクリ) 「ちょっと、お前の喉、見せてもらっていいか? 軽く触ってみてもいいか?」 (…………コクリ) 端的な質問に対して、首を振るか頷くかの簡単な『はい/いいえ』の回答。 それでも名も分からぬ少女の了承を取り付けると、上条当麻はそっと彼女の喉に触れた。 「どうだ? 声、出せるようにならねーか?」 「…………ぅーっ?」 「……ダメか。『能力』か何かで声帯が麻痺してるわけでも、『声が出なくなる呪い』をかけられてるわけでもないってことか。 こりゃ、かなり厄介だな……」 触れた時と同様、そっと『幻想殺し』の右手を離して、上条は思案する。 異能の力が相手なら、神様の奇跡だって打ち消してしまう『幻想殺し』。 何らかの異能による失語症だったとしたら、それが魔術であれ超能力であれ、今の接触で解除できているはずだ。 だが、まるで反応がないところを見ると、他の可能性を考えるしかない。 例えば、脳内に直接ダメージを受けて、言語野に損傷を負っただとか。 あるいは、精神的に大きなショックを受けたことによる、純粋な心因性の失語症だとか。 いずれにしても、何かの拍子に言葉を取り戻す可能性こそあれど、上条にしてやれることは何もない。 上条がしてやれることは――いや、今この場でするべきことは、失語症のケアなどではない。 ダメで元々だった『幻想殺し』による治療を放棄すると、彼は自分のデイパックを漁る。 「……ぁぅーっ?」 「ああ、悪い悪い。えーっとだな、とりあえず名前教えてくれ。あ、無理して喋ろうとしなくていいぜ。 ほれ、名簿。自分の名前、あるか? あるなら指差してみてくれ。そんならできるだろ?」 「…………ぅーっ」 「姫路、瑞希――か。姫路、って呼ばせてもらっていいか? よし」 喋れない少女、改め、姫路瑞希に渡した名簿を返して貰いながら、上条当麻は軽く頷く。 ここまでは簡単な確認。 姫路瑞希が『ただ単に喋れないだけ』で『別に知性を失ってはいないこと』の確認に過ぎない。 上条は受け取った名簿を仕舞うと、今度はこれも共通支給品であるメモ帳と筆記用具を取り出した。 首を傾げる少女に、上条は言う。 『喋れなくても十全な意思の疎通が出来る方法』――筆談のための道具を差し出しながら、救いの手を、差し伸ばす。 「教えてくれ、姫路。どうすれば――お前を助けられる?」 姫路瑞希の表情が、驚きの色に染まる。 簡単なことだ。 年頃の女の子が、羞恥心すら忘れてあんな格好でうろつき回っていたら、『何かがあった』ことは容易に想像がつく。 『誰か』に『何か』をされたと見て、まず間違いはない。 あるいは、『誰か』に『何か』をしてしまったのか。 どちらにせよ、『それ』は並大抵のコトではなかったのだろう。ひょっとしたら、失語症も『そのせい』なのかもしれない。 危険を危険と察知する心すら擦り切れて、何もかもを放棄して、ただ彷徨っていただけなのだろう。 そう察してしまったら――もう、上条は堪らなくなってしまった。 姫路瑞希、この追い詰められた、しかし、手の届く距離にいる少女を放っていくことは、絶対にできなかった。 だから言う。 今日1日だけでも何度も無力感に握り締めてきた拳を、いまは無力感ではなく、確固たる意思の現れとして握り締める。 「俺はバカだから、姫路が『言って』くれないとわかんねえ。 『読心能力者(サイコメトラー)』でもない『無能力(レベル0)』、筆談でも何でも、お前から『言って』くれないとわかんねえ。 けど――」 姫路瑞希が全てを諦めて自暴自棄になっているっていうのなら――その絶望(げんそう)をこそ、ブチ壊す! 【E-2/学校・屋上/午前】 【上条当麻@とある魔術の禁書目録】 【状態】:全身に打撲(行動には支障なし) 【装備】:御崎高校の体操服(男物)@灼眼のシャナ 【道具】:デイパック、支給品一式(不明支給品0~1)、吉井明久の答案用紙数枚@バカとテストと召喚獣、 上条当麻の学校の制服(ドブ臭いにおいつき)@とある魔術の禁書目録 【思考・状況】 基本:このふざけた世界から全員で脱出する。殺しはしない。 1:目の前の喋れない子(姫路瑞希)となんとかコミュニケーションを取る。問題を抱えてるようなら助ける。 2:温泉に向かう。かなめや先に温泉に向かったシャナ達とも合流したい。 3:インデックスを最優先に御坂と黒子を探す。土御門とステイルは後回し。 4:教会下の墓地をもう一度探索したい 【備考】 ※教会下の墓地に何かあると考えています。 【姫路瑞希@バカとテストと召喚獣】 [状態]:左中指と薬指の爪剥離、失声症 [装備]:御崎高校の体操服(女物)@灼眼のシャナ、黒桐幹也の上着、ウサギの髪留め@バカとテストと召喚獣 (注:下着なし) [道具]:デイパック、血に染まったデイパック、基本支給品×2 ボイスレコーダー(記録媒体付属)@現実、七天七刀@とある魔術の禁書目録、ランダム支給品1~2個 [思考・状況] 基本:死にたくない。死んでほしくない。殺したくないのに。 0:……上条のことを、少しは信じてもいいんだろうか 1:温泉には行きたくない 2:朝倉涼子に恐怖。 3:明久に会いたい 【御崎高校の体操服セット@灼眼のシャナ】 上条当麻の支給品。 何故か男女それぞれ1揃い(ジャージ抜き)がセットで支給されていた。 つまり、男子用の短パン、男子用サイズのシャツ、女子用のブルマ、女子用サイズのシャツ、である。 なお、女子は何故か今どきブルマ。色は赤。 【上条当麻の学校の制服@とある魔術の禁書目録】 上条当麻がもともと着ていた服。 制服としてはかなりシンプル。むしろシャツの下に着込んでいたオレンジ色のTシャツ(たぶん私物)が印象的。 【ウサギの髪留め@バカとテストと召喚獣】 姫路瑞希がもともと身につけていたアクセサリー。 時と場合によって他の髪留めをつけていることもあるが、これは一番多くつけている白いウサギのデザインのもの。 本人にとっても思い入れがある模様。 お風呂に入る時には外すのが常のはずだが、どうやら温泉での入浴の際、外し忘れてつけっぱなしになっていたらしい。 結果的に、彼女が身につけている、唯一の「以前からの持ち物」となっている。 投下順に読む 前:群青――(Madonna) 次:しばるセンス・オブ・ロス 時系列順に読む 前:CROSS†CHANNEL 次:競ってられない三者鼎立 前:あぶなげな三重奏~trio~ 上条当麻 次:“幻想殺し”と黙する姫【レイディ】 前:あぶなげな三重奏~trio~ 川嶋亜美 次:お・ん・なビースト~一匹チワワの川嶋さん~ 前:あぶなげな三重奏~trio~ 姫路瑞希 次:“幻想殺し”と黙する姫【レイディ】
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このページはこちらに移転しました ウサ耳少女伝説 作詞/☆ 私はウサギちゃん ひょっこらぴょんぴょん ひょっこらぴょんぴょん 絵本が大好き ひょっこらぴょんぴょん ひょっこらぴょんぴょん 私はウサギよ ウサギちゃん 世界のみんなが 幸せになるように夢を 見ているの そうよ ココロはダブルピース ぴょんぴょんぴょんぴょん平壌 世界を救える魔法 ぴょんぴょんぴょんぴょん平壌 ウサ耳が西を向くわ~☆
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{クリスマスイブにバイトってどうゆう事!?} 「ご主人様~…」 「んだよ、アンジェラス」 「なんで私達こんな所で仕事してるんでしょうね?」 「…聞くな」 俺はカウンター席でダルそうに机に倒れ込む。 アンジェラスも俺のマネをするかのようにうつ伏せで寝る。 そう。 今はとある店でバイトをしている。 しかもタダ働きでだ。 そしてその店とは。 「よぉー、青年よ。しっかり働いているかぁー?」 「…都」 そうです。 今俺がバイトしてる店は都の本屋だったのだ。 これ言うのは二回目だが、タダ働きでだ。 そしてな~んでこんな事になってるかちょっと回想してみようか。 …あんまり回想したくないのだが。 ☆ 事件は一週間前に起こった。 事件が起きた当日。 その日は俺とアンジェラス達と一緒に都の店に行った。 都の店はあんまり人気が無いというか品揃えが悪いのか知らんが…一言で言えば、客が入らない本屋なのだ。 まぁ~でも、そのおかげで俺が欲しい本が大抵手に入るので嬉しい。 そしてこの日難なく目当ての本を買って帰る予定だったのだが…。 …そうはならなかったんだなぁ~これが。 事の発端はこうだ。 「店員さん。この本欲しいんだけど、いくら~?」 クリナーレが自分目当ての本をカウンターに持って行き店員に言う。 でもって、その店員が。 「………」 都の神姫、ストラーフ型のノワールである。 このストラーフはまた変わったストラーフでね、俺のクリナーレと違って無口…と、まではいかないが結構喋らない奴なのだ。 そして今のノワールはカウンターの店員側の隅っこあたりで自分が読みたい本を読んでいた。 まさに堂々としたサボタージュだ。 あ、因みにサボタージュというのは省略するとサボりの意味だよ。 「お~い、店員さん。無視してないで仕事しろよー。この本はいったいいくらなんだよ」 「………」 クリナーレの掛け声にうんともすんとも言わないノワール。 このノワールの態度にクリナーレはだんだんと腹が立っていくのは言うまでもない。 「もう一回言うぞ。この本はい・く・ら・な・の!」 「………はぁ~」 大きな声で言ったクリナーレの言葉に溜息をはくノワール。 そして気ダルそうにカウンターの右の方にあるレジの所までトコトコと歩き、商品についてるバーコードを読み取るバーコードリーダーを持ってくる。 ほんでもってノワールはクリナーレにバーコードリーダーを渡す。 クリナーレは漫画的に言うと頭の上に『?』←このクエスチョンマークを三つ程浮べているに違いない。 ノワールというとささっと自分の持ち場に戻り本を再読しはじめる。 サボり再開、と言ってもいいだろう。 「なんだこれは?」 首を横に傾げながらクリナーレはノワールに訊ねる。 するとノワールが。 「…それで自分で調べろ」 とかなんとか言っちゃってくれるもんだから、ここからさぁ大変だ。 クリナーレはプルプルと小刻みに震えながら怒りのボルテージが上がっていく。 そして。 「ギャース!何様のつもりなんだお前はー!!」 ガスッとバーコードリーダーをカウンターに投げつける。 怒りゲージフル満タンだー! 「おい!聞いてんのか!?」 「………」 「シカトするな!」 ドガッ! ノワールが読んでいた本を蹴り飛ばすクリナーレ。 この行為はさすがのノワールもキレたらしく立ち上がりキッとクリナーレを睨みつける。 クリナーレは右手を中指だけ起ったて『ファック!』てな感じに挑発する。 ノワールも挑発を返すように親指だけ起ったてて、下に向け『ファック!』てな感じに挑発した。 「上等!」 「…倒す」 二人は敵意むき出しにし喧嘩しはじめた。 お互い武器とかなんにも武装していないのでただの殴りあい。 子供の喧嘩に等しいのだが。 そんな二人が喧嘩場所を移しカウンターから降りる。 店の中全体が彼女達のバトルフィールドなのだ。 「この!クラエー!!」 ポイポイと店の商品である本をノワールに投げつけるクリナーレ。 「…ヘタクソ」 飛んでくる本を難無く避けるノワール。 避けられて本はそのまま重力によって地面に落ちて汚れたり、壁にブチ当たって折れ曲がったりする。 埒があかない、と思ったクリナーレは本を投げつけるの止めて、ノワールに突進した。 ノワールも接近戦に持ち込もうとしたクリナーレに察し同じくクリナーレに突進する。 「デヤァァァァーーーー!!!!」 「…これで、おしまい!」 お互いが右手を拳にし突進する! そして互いの間に入った瞬間拳を放った! バキッ! バキッ! なんとクロスカウンターし、引き分けになってしまったのだ。 互いの顔は敵の拳によって歪み酷いツラになっている。 そしてこのクロスカウンターが大ダメージだったのか、そのまま二人は気絶して一緒に横に倒れる。 結果的に勝負は引き分けになり、二人が気絶から回復して最初に見たのは困り果ててる都に、いかにもこれから叱ろうとしている龍悪がいた。 「アニキ!これには訳が!!」 「あ~ん?なんだ??言い訳でもあるのか、クリナ~レ???」 ギラッと龍悪に睨みつけられるクリナーレ。 あまりにも鋭い目にクリナーレは『ごめんなさい』と謝り、頭をたれる。 都の方もなにかしらノワールに注意している。 龍悪の右肩にアンジェラスとルーナが溜息をつきながら『しょうがないなぁ~』という顔をしていて、左肩にはクリナーレの事を心配そうな目つきで見て、龍悪の肩から降りクリナーレの元へ行き元気付ける それから二人から事情を聞き結論的に喧嘩両成敗になった。 一応、この結論で皆は納得して終わったが…。 一番被害を受けたのは店長の都だ。 二人が暴れたおかげで店の中はグチャグチャ、まるで台風が通り過ぎていったような惨状だ、と言ってもいい程だ。 そこでいち早く察知した龍悪。 内容は都に賠償金や整理整頓をさせられる、という事だ。 だから龍悪はクリナーレを頭に乗せ、パルカを胸ポケットの右に入れ、アンジェラスを右肩に、ルーナを左肩に座らせ、さり気無く店から出て行こうとした…が。 「ちょっと、待て」 ガシッ、と空いた左肩を都の手に掴まれたのだ。 掴まれた瞬間、龍悪の頬に冷や汗が垂れる。 「このまま『はい、またご来店ください』て言う訳にはいかないよ」 恐る恐る、都の方を向く龍悪。 そして案の定。 「弁償♪してくれるよな?」 都はニッコリ笑っているが都の背中からどす黒いオーラ出ていた。 内心はもの凄く怒っているのだ。 そんな都の気持ちを察した龍悪は。 ★ 「まぁこいう事になっちまった訳だ」 「はぁ~、クリナーレには困ったものです」 「同感だ」 「こらこら青年。サボって無いでちゃんと仕事しなよ」 「うっさい、それと青年言うな」 俺の右肩をポンポンと叩く都。 あのさぁ都、俺は仕事に対しては真面目に働く奴だぜ。 でも、バイト代が出ないバイトのなんかやってられるかよ。 「そ~嫌そうな顔をするなよ。後一日、明日で最後なんだからな」 「それまで散々こき使った癖に、よく言うぜ」 「しょうがないだろ。ノワールも悪いけど、私の店をメチャクチャにしたのは天薙のクリナーレの責任でもあるんだから」 「ヘイヘイ、そうですね」 「分かればよろしい。それじゃあこの箱に入ってる本を取り出して、それぞれのジャンルの本棚に置いといてくれ」 「だぁ~、カッタルイぜ。はいよ」 「頼んだぞ」 都はそう言うと奥の部屋に入って行った。 俺は頭を掻きながら箱の数を数える。 1・2・3・4・5・6・7・8・9・10・11…。 11先からの数は数えたくなくなった。 だって、多いんだもん。 いったい何箱あるんだよ。 「ご主人様、箱の数は役四十」 「言うな。言うと俺はサボるぞ」 右肩にいるアンジェラスが数を言うまえに俺は制止させた。 数を聞くと気が滅入るからだ。 こいう時はひたすら仕事して終わった時の方が気分的に楽。 数を知ってしまうと『あと何箱?』と、数の事を考えてしまう。 もし、そこでまだ沢山箱があると気分的にやる気が減ってしまうのがメに見えてる。 「アンジェラス、パルカを呼んでこい」 「はい。でもこいう事はルーナも呼んだ方がいいんじゃないですか?飛行能力が高い方が仕事がすぐ終わると思うのですが」 確かにアンジェラスの言ってる事は正しい。 けどそれだと…。 「じゃあ店の掃除をしているノワールとクリナーレだけにしてみろ。このバイトの原因二人組みの仲裁に入る奴が居なくなるぞ」 「…あははは、またくだらない事で喧嘩なんかしたら大変ですもんね」 「だろ。解ったら呼んでこい」 「はい」 右肩からリアウイングM‐88対消滅エンジンを使って飛ぶ。 俺はアンジェラスがパルカを呼んで来るまで少しでも仕事をしようと箱を開ける。 そこへ都の神姫のハウリン型のハウがやって来た。 「ご苦労様です、龍悪さん」 「ん、ハウかぁ。何しに来たんだ?」 「こっちの仕事が終わりましたから龍悪さんの方を手伝おうと思いまして」 「オッ!そいつは嬉しいな。じゃあ一緒にこの箱に入ってる本を並べようぜ」 「うん!」 俺は箱から本と幾つか取り出す。 ハウはいつの間にか俺の右肩に乗っていて本を持とうとする。 そんなハウを見て、二冊程ハウに渡す。 「お前、いつの間に俺の肩に」 「え?だって龍悪さんの肩って指定席みたいだったから」 「指定席?なんのこっちゃ??」 「龍悪さんはいつもアンジェラスさん達を肩に乗せてるじゃないですか。だからアタシもこの場所にいた方がいいのかなぁ~、と思って」 「あぁ~、そいう事ね。別に指定席でもなんでもねぇーよ。ただたんに俺がそこに居てくれたら邪魔にならなくていい、というか…う~ん、正直解らん。て、そんな事どうでもいいから仕事するぞ」 「は~い」 俺は商品が並べられてる本棚に向かい手に大量に持っている本をジャンルごとに入れる。 ハウも自分の本を入れたら俺が持っている本を取り次々と本棚に入れる。 うん、かなり手馴れているみたいだな。 神姫のくせによく頑張る。 「龍悪さん、次の本棚に移動しましょ」 「あ、おう。そうだな」 ハウの言う通りに次の本棚に移動する。 どうやら俺は少しハウに見とれちまったかも。 犬型も中々いいかもしれない。 「ご主人様~!」 「お兄~ちゃん!」 俺の左耳に二種類の大声が聞こえた。 左耳を左手で押さえながら左肩の方を見ると、そこに居たのはアンジェラスとパルカだった。 「ウオッ!?なーんだ、お前等かよ。つか耳元で叫ぶなよ」 「ご主人様、さっきハウさんに見惚れてたでしょ!」 「エッ!?別に、そんな事あるわけないだろ。それにオーナーは都だぜ」 「でもお兄ちゃん、ハウさんの方をジーッと見ていて仕事の手が止まっていたよ…」 ウグッ…パルカの奴、鋭いなぁ。 ていうか、なんでそんなに怒ってるんだよ。 「あ、アンジェラス達も来てたんだ。早く仕事を終わらせて休もう♪」 ハウがニッコリと笑いながら場を和ませる。 そんなハウの無垢な笑顔を見た二人は機嫌を直したのか、俺の左肩に座り仕事の方に専念してくれた。 フゥ~これでなんとか修羅場(?)を回避できたのか? 兎に角、なんだか助かった気分だ。 まぁここから話す事はあんまりないだろう。 話す事を強いていうなら、無事仕事をやり遂げ、帰宅して疲れた体を休ませる事ぐらいかな。 死んだように眠ったのは言うまでもない。 …。 ……。 ………。 そして翌日、バイト日最後になった。 俺は昨日早く死んだように寝たので、朝早くに眼が覚めてしまったのだ。 ベットでボーッとするのもいいかなぁ~と思ったが、今日はバイトの最終日。 それと同時にクリスマスイブだ。 まったく、今考えればクリスマスイブの日にバイトというのはちょっと許しがたいなぁ。 でも、責任はちゃんと取らないと、次都に会う時あの口から俺に対する皮肉が何連発出るのやら…。 …あ~、うん、考えないほうが自分のためかもしれない。 気分転化に窓を開けてみた。 そして俺が見た風景は。 「…マジかよ……」 白銀の世界が広がっていたのだ。 要するに雪が降っていた。 しかもこれが最悪な事にかなり積もっていやがる。 地面から高さ30センチはあるかもしれない。 「こりゃ、タイヤに鎖をつけないと不味いなぁ。運が悪かったら歩いて都に本屋まで…はぁ~、ダル過ぎる」 ガクッと頭を下げる。 子供だったら元気よく外に飛び出して遊びに行く所だが、俺はもう大人に近い年齢。 そんなハシャグ年じゃないし、寧ろ雪を見るとうんざりする方だ。 寒さはよりいっそう強くなるし、車の運転がしづらくなるし…言い事なんかまるで無い。 「朝飯でも作ろう…」 ベットから出て一階にある台所に行き、食パンを齧る。 「モグモグ、ゴックン。う~ん、クリスマスかぁ。そうい~や、クリスマスプレゼントの用意していなかった」 ちょっと困った事になった。 ここんと頃、忙しくて全然考えてなかったぜ。 今から買うに行っても遅いし、何を買えばいいのかも解らない。 う~ん…どうしよう。 食パンを銜え、腕組しながら考える。 「…あっ!そうだ!!」 俺は銜えていた食パン見て、我ながらナイスなアイディアを閃いたのだ。 答えは『飯』だ! 食い物をプレゼントにしよう。 材料なら毎日商店街まで行って買うのが面倒なので、買いだめしているから食材は大抵ある。 そして今日はクリスマス。 クリスマスと言ったら、女の子が大好きなケーキに決まりだな。 よ~し! 今日はイッチョ、頑張って作ってみますか! …。 ……。 ………。 「お~い、都。これ、冷蔵庫に入れてもいいか?」 「別に構わないけど、何それ?」 「ん?フッフッフッー、そいつは時がきてからのお楽しみってやつさぁ。さぁーて、バイトバイトっとー」 「はぁ?変な奴」 俺は店のカウンター席に行き、いつものように客が来るまでダラダラとする。 今日でバイトが最後、どうせなら最後は最後らしくパーッと華やかに締めくくるものさぁ。 「ご苦労様、天薙さん」 「…お疲れ」 「オッ。ハウにノワール、お疲れ~」 カウンターの机の上をトコトコと歩いてくるハウとノワール。 ハウはいつもどうりの上機嫌でノワールも相変わらずの無表情。 前から思うのだが、ノワールは悪魔型なくせに標準的な性格が違うとこうも印象がガラリと変わるとなんか新鮮だな。 でも、それがいいかもしれない。 皆、同じ性格だったら味っけないし気持ち悪い。 「先程、マスターの冷蔵庫に何か箱を入れていたみたいですが。あの箱はなんですか?」 「ハウも都と同じ質問かよ。安心しろ、爆弾とかじゃないから」 「…爆弾だったら困るのですけれど」 「だから冗談だって」 真正直に信じるなよ。 純粋すぎるぞ、ハウ。 「いいですね~、ご主人様とハウは~。どうせ私達は蚊帳の外ですよ~」 実は先程から両肩にアンジェラス達が座っているのだ。 どうやら昨日の一件から不貞腐れてるみたい。 「そ~しょげるなって。別にただたんにハウと喋っていただけじゃないか」 「でーもー…」 「はいはい、後でイイ事してやるから機嫌直してくれや」 「う、うん!」 アンジェラスの頭を撫でててやる。 すると、頬を桃色に染めながらウットリするアンジェラス。 ガー! 店の自動ドアが開いて音が聞こえたので仕事の方集中する事にした俺は営業スマイルで。 「いらっしゃいませ~」 まぁ~、こんな感じに言った。 普通はここでコンビニとかだったら素通りなのだが、このお客様は違った。 「あぁ~!何でここにいるのよー!」 人差し指で指されながら叫ばれてしまった。 変な事したか、俺? ほんでもってお客様のツラをよく見ると。 「な~んだ。都の妹、七瀬春奈かい」 そう、都の妹にしてなにかしら俺の事を敵意があるような目で見てくる奴だ。 そしてその妹さんの隣にいたのは。 「ども…こんにちは、です」 妹さんの事がLOVEな八谷良平。 相変わらず、俺にビクビクした物腰だ。 もっとフレンドリーに接してきてもいいのに。 「なんでお姉ちゃんの店にアンタがいるのよ!」 「見て解らないのか?バイトだよ、バ・イ・ト。ちょっとしたことからバイトする羽目になっちまってさぁ」 「…ちゃんと働いてるの~?」 「もちのろんろん。お前の姉貴にこき使われてるよ」 「ふ~ん。お姉ちゃんに聞けば分かるか。お姉ちゃんー」 都がいる奥の部屋に春奈は行ってしまった。 『お姉ちゃんに聞けば分かるか』というセリフをはくのなら最初から訊くなよ。 もろ俺の言葉が信用してないのがバリバリ伝わってくるぜ。 はぁ~、信用されてないなぁ俺。 「…あの~…」 八谷が俺に尋ねてきた。 いったいなんの用事だろうか? 「この前のチケット、ありがとうございます!」 深々と頭を下げてお礼を言う八谷。 うんうん、礼儀正しい事は良い事だ。 おっそ~だ。 ちょっとからかってみよ~っと。 「なぁ八谷~」 両肩に居る俺の神姫達を下ろしてカウンター席から離れ八谷に近づき、ガシッと八谷の右肩に俺の腕を回す。 その時に八谷がビクッと震え上がる。 そんなにビビらなくてもいいじゃん。 「お礼を言うぐらいなら一つ教えてくれ」 「なっ…何ですか?」 「決まってるだろ。ホテルで交尾したか?」 「エエエエェェェェーーーーモゴモゴッ!?!?」 八谷の口に俺の左手で覆い被せるように声を遮る。 まさかまた、叫ぶとは思わなかった。 このベタベタな展開は前の夏休みにバトルの帰りと同じじゃないか。 「バッカ!声が大きい!!」 「ごっ!?ごめんなさい!」 「まったく…テメェはいまだにヘタレなのかよ。はぁ~、春奈が可哀想だ」 「そ、そんな事言われても…」 俺はグイッと八谷を引き寄せ格好つけて言った。 「いいか。時に強引というものが必要だ!」 「え、はい?」 「でもレイプ駄目だぞ!ちゃんと二人が愛し合っているのなら文句無し!SMプレイだろーとマットプレイでも何でもいい!!」 「は、はい!でも、なんでエッチしてない、て分かったんですが?」 「バーカ!俺をだと思ってんだ?テメェ等見た瞬間にビビッとくるんだよ!!処女臭と童貞臭がな!!!」 「いやな臭いの嗅ぎ方ですね」 「余計なお世話だ。兎に角、今度はホテルにでも誘ってヤッちまえよ!大丈夫、春奈だったらお前に身も心を預けるさ!!」 「で、でもさっきレイプは駄目だって」 「馬鹿野郎!レイプと強引は似てるようで違う!!レイプは英語表記でrapeだ。つまり英語なの。日本語は強姦というじゃん。ほらここで漢字も意味が違う。強引は時にはいいんだよ!!!」 「けど、やっぱり強引はちょっと…」 「このヘタレが、素直になっちまえよ!交尾!!子作り!!!セックス!!!更に言えグバァハー!?!?」 天薙は叫びながら店の中で倒れた。 そして後頭部には神姫用の弾が転がる。 八谷は弾が飛んできた方向を見ると。 「昼間から、なんて事を口走っているのよ!このエロ馬鹿!!」 顔を林檎よりも真っ赤にした春奈が仁王立ちしていて、そのすぐ近くにはサラがいた。 サラの両手に持っていたのはスイングアウト式多目的グレネードランチャー。 弾の種類は鉄鋼杭弾、いくら神姫用の弾だからって、頭は不味い。 しかも後頭部だ。 「八谷、変な事吹き込まれてないよね?もし吹き込まれても絶対信じちゃ駄目だから!ぐ、具体的には~…その~…」 「無理しなくて言わなくてもいいよ」 内容が内容なので春奈もストレートに言えない。 八谷は察して春奈を落ち着かせる。 「ご主人様~大丈夫ですか~?」 「駄目だこりゃ。完全にノびちゃってるよ」 「でもダーリンの事だから後、数分もすれば復活しますわ」 「このまま倒れぱなしはよくないので運びましょ」 天薙の神姫達が両腕と両足を持ちカウンター席にある椅子に無理矢理座らせる。 勿論、バランスがあいまいなので上半身だけ前のめりになりそのまま。 ゴン! カウンターの机に顔面直撃した。 天薙の神姫達が思わず『あっ』と一斉に言う。 でも天薙は沈黙を守ったまま。 どうやらまだ気絶しているみたいなので天薙の神姫達はホッとする。 「天薙さん、大丈夫ですか?」 八谷は心配そうに言うと天薙の神姫のアンジェラスが。 「大丈夫ですよ、ご主人様は頑丈ですから。それに非はこちらにあるので心配する必要もないですよ」 「あはは…じゃあ天薙さんによろしく言っといてくれませんか?」 「はい、言っときます。八谷さんは優しい人ですね♪」 八谷は苦笑いしながら春奈の方に行き、そのまま二人は都の部屋に行った。 それから数分後。 本当に天薙はガバッと上半身だけ起き上がらせ周りをキョロキョロする。 自分の居場所が確認出来た同時に不意に後頭部に痛みが走った。 「イテテテッ。ヴァ~なんか後頭部が痛いんだけど…何があったか教えてくれないか?」 自分の神姫達に訊いてみるとアンジェラスが深い溜息を吐いた後にこう言った。 「ご主人様が極度のセクハラ説を唱えてたから気絶するはめになったです」 「はぁ~?意味解らん。まぁいいや、後はバイト終わらせてお楽しみタイムに入るだけだから」 「お楽しみタイム?何するんですか??」 「それは夜のお楽しみって奴だよ、アンジェラス」 「はぁは~…」 俺の言葉をまるで理解していないアンジェラスは首を傾げていたが、そのうち解るだろ。 夜になればな。 …。 ……。 ………。 「天薙、ご苦労さん。もう上がっていいぞ」 「ん?そうなのか??あ~、これで明日からゴロゴロできるぜ。と、その前に」 俺は自分の神姫達を両肩に座らせてかうんたー席を離れ、都の部屋にある冷蔵庫の目の前に行く。 都の部屋に八谷と春奈がいた、いきなりの乱入者の俺に睨みつけてくる春奈。 俺はシカトしながら冷蔵庫の中に朝入れた箱を取り出す。 「朝から思っているがそれはなんだ?」 都は俺が持っている箱に豪く好奇心旺盛だった。 俺はフッと都にニヤついて見せると首を横に傾ける。 中身が予測不可能なのだろうか、全く解らないみたいだ。 そうじゃないと面白くない。 開けて見て吃驚、玉手箱並みの驚き見せてくれないとツマラナイからな。 でもそろそろ中身を教えてやるか。 都の部屋は広く、食堂、つまり台所と直結しているので食堂テーブルにはすぐ行けた。 しかも食堂テーブルの椅子は四つあったから丁度人数が合う。 「そんじゃあ、都、春奈と八谷。このテーブルの椅子に座ってくれや」 「なんで、アンタに命令されなくちゃいけないのよ!」 春奈がくってかかってきた。 まさか、八谷に教えたあの力説に怒ったのは春奈かもしれない。 俺が襲撃されてから眼が覚めた間の記憶が素っ飛んでるからな。 「あっそう。じゃあ春奈無しだな。あぁ~あ、本当に残念だ」 心底残念そうな顔をしながら言う。 すると春奈は俺の顔を見て箱に興味示したのか、無言で椅子に座った。 八谷はその隣に座り、都は春奈の向かい側に座る。 俺も都の隣に座り、両手で箱を開けようとした。 こう言いながら。 「メリークリスマス!」 ガバッと箱を開けるとそこには大きなホールのホワイトケーキが存在していた。 俺の自作ケーキ。 今日の朝、フと思って即席で作った物だが、このケーキは少し自信がある。 三人とも驚きの表情でケーキを見てくれたので俺も嬉しい。 けど春奈が。 「毒でも入ってるんじゃないの?」 「だぁーもう!俺が嬉しがっているひと時に水を差すじゃない!!」 「だってアンタなんだもん。信用できないし、今ダイエット中なの!」 「はいはい。なら食わなくていいよ。俺が考えたこの特製ケーキは、低カロリーで太りにくいケーキなのになぁ~」 ピクッと春奈の右眉毛が動く。 おっ脈ありか? ならカロリーの数値も言ってやるか。 「なんと1グラムあたり1カロリー!」 「なんですって!?」 春奈が驚愕して椅子から立ち上がる。 いや、そこまで驚かなくてもいいじゃん。 「そ、それは本当なの?」 「食い物の事で俺は嘘つかねぇ~よ。ましては皆に食べてもらうんだから常識でもあり礼儀でもある」 「パク、モグモグ。お、これは美味しい!天薙はよくこんな美味い物が作れるなぁ」 都が人差指でケーキの上に乗ってるクリームだけぺロッと舐めて味見しやがった。 「おいおい、まだ皆に分けてから食えよ」 「だって春奈との会話が長いから待ちきれなくてさぁ」 「はぁ~まぁいいか。まぁこれで少なくとも味の保障になったろ、春奈」 「うん、早く包丁で切り分けなさい!」 元気よく春奈はまだかまだか、と俺を急かす。 俺は立ち上がり俺達人間の分とそれぞれの神姫達にもケーキを分ける。 結構人数がいるので分けるのは一苦労したぜ。 ほんでもって最後にケーキを渡す時、小声で八谷にこう言った。 「お前の苦労すると思うけど、頑張れよ」 すると八谷は苦笑いした。 俺もつられて苦笑いする。 それと最後の自分のケーキを分けて席につき人間四人と神姫八人で仲良くケーキを食べた。 こうして俺の都の店でバイトする日が終わる。 クリスマスの経験には楽しい事も辛い事もあるが、今回のクリスマスは楽しい方だな思った。
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登録日:2009/06/11 Thu 18 21 57 更新日:2024/03/13 Wed 17 01 35NEW! 所要時間:約 5 分で読めます ▽タグ一覧 うさぎ ただのカオス にんじんケーキ にんじんステーキ ウサギ ウサビッチ ウホッ ←いい男ではない カナバングラフィックス キレネンコ最強伝説 コサックダンス ダブル主人公 ドMヒヨコ パチンコ化 ヒヨコウ○コ マトリョーシカ ムホッ ユル系ウサギ ロシア 主よ、人の望みの喜びよ 兎 北兎神拳 双子 囚人 愛すべきバカ達 扉 敵も味方も変な奴 暴走モードの初号機すら軽々倒せそう 民警 監獄兔 看守 肉食カエル MTVにて放送されている、ソ連時代のロシアを舞台とした超ユル系アニメ。 セリフはほとんどないが、笑えるアニメである。 一本あたりの時間は3分程度。 ラストでバッハ作曲の教会カンタータ「主よ、人の望みの喜びよ」が流れて、エピソードのシメとなる。 2023年現在、Season1~5までの本編と前日談を描いたZERO(*1)が制作されている。 ▼キャラクター紹介◆レギュラー ◆Season1 ◆Season2 ◆Season3 ◆Season4 ◆Season5 ■解説 ▼キャラクター紹介 ◆レギュラー プーチン 通称:修理神・被害者 陽気で優しいがちょっと間抜けな兔。 楽しいことが大好きだがトラブルにはよく巻き込まれる。 清く正しい労働者だったが、二日酔いで仕事を一日サボったため「資本主義者め!!」と3年の懲役をくらう。 しかし、ただ飯が出て快適な刑務所暮らしを気に入っている。 見た目のわりにダンス、メカニックセンスはずば抜けている。 とある話の冒頭では寝ながらコサックダンスをしたこともある。 魚を食おうとすると必ずビンタを喰らわされ、ウォッカ1杯でできあがってしまう程酒に弱い。 キレネンコ 通称:破壊神・赤い悪魔 元マフィアのボスで現在は死刑囚。シューズコレクター。 何故か左耳に安全ピンをつけている。 昔は双子だったが、仲間の裏切りで爆殺されてバラバラになり、繋ぎ合わせられて一人っ子になった。 普段は物静かだがキレると止まらない危険な男。 潔癖症で自分の生活リズムを邪魔する者には容赦しない。 プーチンへの態度はかなり邪険に見えるが、少なくとも敵とは認識していない様子。 まれに「スーパーキレネンコ」なる化け物と化すこともある。 彼がキレたらフルボッコ、車両破壊、犬神家、ビル破壊……他多数(ToT)とにかく止められない。 体もすこぶる頑丈で、毒ガスも効かない。毒を飲んだ際は酒だと思ったのか少し酔っ払った。 しかしシーズン2以降はスタミナが切れて動かなくなったり真っ白に燃え尽きたりなどして度々命の危機に瀕している。しかしプーチンの懸命の治療(というより修理?)のおかげでなんとかなっている。 キレるとこうなる→(◎谷◎) プーチン共々色付きの囚人服を着ているが、ZEROでは白黒だった(*2)。 レニングラード プーチン達の牢屋のトイレに住みついていたカエル。 動くものは何でも食べ、劇中ではよくコマネチを食べる。 Seasonごとに服装が変わる。 コマネチ オカマヒヨコ。 プーチンがヒヨコの性別選別の仕事中にであった。 イジめられるのが大好きで、異常なほどのドM。 Season3で一度死ぬが、卵に乗り移って蘇った。 ウン〇マネチ レニングラードから出てくるコマネチ。 ◆Season1 サブタイトルは「××の時間」。 カンシュコフ 囚人達の世話をしながら囚人をイジメてる。 キレネンコにフルボッコされてプーチンに八つ当たり。 彼に限らず刑務所職員はみんなマジックハンドの付いた扉のような外見をしているが、ZEROでは普通のウサギの姿だった(*3)。 Season3ではズルゾロフを乗せた護送車の運転手として登場した。 ロウドフ 囚人達に仕事(*4)をさせてるが、ミスはいっさい許さない。 ミスを犯したら鞭叩き。 ゼニロフ 囚人達に給料を払うがピンハネし放題。 なぜかキレネンコには大金を渡した(*5)。 ショケイスキー 囚人達の処刑執行ウサギ。 執行大好きだがキレネンコは殺せない。 ヒヨコ ロシアのヒヨコ。 マトリョーシカ みんな大好きマトリョーシカ。 シャラポワ レニングラードの母。 息子の鳴き声を聞いて面会に来た。 コマネチ母(父) コマネチの母であると同時に父でもあるニワトリ。 息子の体臭を嗅いで面会に来た。 のちにキレネンコに食べられてしまう。 何故か集団でも登場。 他のSeasonでも大量に出たり、キレネンコに食べられたりする。 ◆Season2 サブタイトルは「××注意」。 ボリス&コプチェフ 白いウサギがボリス、紫のウサギがコプチェフ。 ボリスは銃射撃に優れており、コプチェフは高い運転技術を誇る。 しかし、大概はキレネンコに返り討ちにあっている。そして、「嘘ー!?」と叫ぶのがお約束。 Season3の最後にも登場し、ズルゾロフを逮捕した。 警官達 犬神家。 背番号が面白い。 ◆Season3 サブタイトルは「××階」。 ズルゾロフ 可愛らしく振る舞うが、かなりのナルシストで腹黒いマフィアのボス。 キレネンコとは因縁が……。 ゾーヤ&ジリヤ 美しい双子の姉妹。 美貌で貢がせたパトロンは数知れず。 男のお金は私達のもの、私達のお金は私達のもの。 ズルゾロフ部下 各階に居る。 安月給で我慢の限界らしく、 労働組合を立ち上げる計画らしい。 チンピラ達 キレネンコにフルボッコ。 メカネンコ プーチンが適当に作り上げた、キレネンコをモチーフにしたロボット。 歩くしか出来ないが、無駄な知識を身につけ全く空気を読まない。 だがそれがいい! 後に下記のズルゾロボのパーツと組み合わされて「メカネンコ2号」になる。 ズルゾロボ ズルゾロフの頭と手足が目立つ予算オーバーで未完成なロボット。 胴体? 胴体なんてただの飾りです! 偉い人にはそれがわからんのです! ◆Season4 サブタイトルは「××マシン」。 ミハイル レニングラードの父で、口ひげを生やしたカエル。 初登場はテレビ電話越しであり、後にSeason5で直接対面。普通のカエルよりすごくデカい。 レニングラードの動くものならなんでも食べる性質は彼譲りのものだが 彼の場合、キレネンコやコマネチ母(父)、はてはロボットのメカネンコ2号までお構いなし。 プーチンも食われそうになったが、レニングラードが説得したため未遂におわる。 ◆Season5 サブタイトルは「××の森」。 ケダムスキー プーチンたちが迷い込んだ森で出くわした、灰色の毛むくじゃらなウサギ。 常に歯を見せて笑いを浮かべた表情をしている。 見かけによらず脚が速く、キノコを食べた影響で更に速くなった時はスーパーキレネンコをも振り切った。 本編ではキレネンコがアタッシュケースの中に隠しているニンジンを狙って現れ、ZEROでも囚人として登場。 ■解説 登場じんぶ……ウサギは様々で個性的な奴らが多い……。 現在Season5とZEROのDVDが発売中。 ヴィレッジ・ヴァンガードにも特設コーナーを作られてたり、何だかんだでブーム。 また、ガンダムの小ネタや北斗ネタetc.などが仕組まれており、小ネタを探すのも悪くない。 ところで暴走とは? と思う人も多いでしょう。 普段は物静かで、他人にはあまり干渉しないキレネンコだが、 潔癖症で自分の生活リズムを邪魔されるとキレてしまう。 マジギレするとエヴァ初号機と変わらないくらいに暴れる。 看守皆殺し 警官皆殺し フライパンで銃弾をすべて跳ね返す デパート破壊 キレネンコとキルネンコ もともとキレネンコは双子であり、 キルネンコという兄弟が居たが、ズルゾロフのワナにかかり、ロケットで二人とも爆死。 バラバラになった遺体をつなぎあわせてキレネンコになった。 + ネタバレ注意! 実はキルネンコも生きている。 Season3のラストに手配書がチラッと登場し、Season4ではテレビ電話越しにキレネンコと再会した。 キレネンコ同様バラバラになった遺体を繋ぎ合わせたようで、元々キレネンコのものだった安全ピン2本の耳が繋がっている。 ちなみに生前二人ともシューズコレクター。 追記・修正はキレネンコをキレさせないようにお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 紅葉まんじゅう!紅葉まんじゅう!! -- 名無しさん (2014-02-07 18 17 50) 兄らしき人物も生存しているようなんだがどういうことなの? -- 名無しさん (2015-05-06 23 03 13) キレネンコマジキレネンコ -- 名無しさん (2015-09-17 17 45 02) ウサビッチZEROではカンシュコフ達の本来の姿をみれるぞ! -- 名無しさん (2020-03-29 23 27 59) キルネンこ -- 名無しさん (2021-11-03 16 30 05) ミス。キルネンコも生きてるよ。元々はキレネンコのものだった安全ピン2本の方の耳が繋がってる。 -- 名無しさん (2021-11-03 16 31 13) 今後、新シーズンは来ないのかな?舞台がロシアで主人公の名前がプーチンだからダメなのかな?『ウサビッチ』自体には罪はないと思うけど。 -- 名無しさん (2022-05-09 12 16 59) キレネンコみたいに自由気ままな生活を送りたい・・・ -- 名無しさん (2022-07-05 20 12 54) 「ウサビッチ」って主役のウサギのどちらかの名前かと勘違いしてた時期あったな自分 -- 名無しさん (2024-03-13 17 01 35) 名前 コメント
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死者を弔う風習というものは、月の都には存在しなかった概念だ。我らが郷には『穢れ』が無く、穢れなき物体に寿命は宿らない。故に死が存在しない。 此処は月とは対極の地。穢れが蔓延し、土が死者を喰らい、淀んだ大気が生者を狂気に誘う。月の民にとっては肌に触れるだけでも禁忌とされる領域に立ち、なお狂わずに居られる八意永琳の精神は強者ゆえか。 それはきっと、此処には一切の微生物も細菌も漂っていない浄土の世界だからだろう。 血肉に腐敗をもたらす彼ら極小生物達が姿を消した土地は、永琳からすれば思いの外───悪い空気ではないのだ。 穢れとは生きること。死ぬこと。生きる為に競走しなければならない地上を、穢れた土地……穢土と呼ぶ。まさに我々が収集されたこの殺し合いの地でしかないが、これでは大きく矛盾する。穢土の土地で浄土を見るなど、自らの心身が穢れに塗れた証拠でしかない。 元より此の地は穢れなき浄土。そこに穢れを持ち込み血塗れの穢土としているのは、我ら九十の生者達に過ぎないのではないか。樽一杯のワインにひと匙の泥水を注ぐ愚物は我々参加者か。それとも天より見下ろす主催者か。 どちらにしろ永琳は、とうに穢れを受け入れた身。蓬莱山輝夜の罪が、八意永琳の罪が、それを声高に証明している。 我々はあくまでも前向きに穢れを受け入れたのだ。地上の民となることで、今の一瞬を何よりも大事にする。ゆめゆめ、それを忘れずに生きようと。 だがそれは、鈴仙から語り伝えられた『If』の中での永琳であった。 そしてその致命的なすれ違いこそが、月の賢者を苦悩に導く呪いにもなりかねない。 地上の民となる。それは、地上の民と共生することである。 では、月の民が地上人と共に生きることで起こる作用とは、なんだ? ここに来て月の賢者は、こんな単純な問題に直面する。天才と称えられた歴史の知者達にはよくある、恐ろしく根本的な落とし穴を前に、彼女は足を止めてしまった。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 『八意永琳』 【真昼】D-4 香霖堂 裏庭 「…………祈りは、終わったかしら?」 四の墓標に向けて膝を折り、目を瞑る屈強な男へと急かすような声を掛けたのは、永琳が冷徹で淡白な女性だからではない。それは単純にジョセフとてゐへの気遣いから出た言葉であり、彼女がそういった労いを掛けられる優しさと気品さを備えている証明とも言えた。 香霖堂を出てみれば、天候はいつの間にか雨天から雪へと。雨水によって随分柔らかく解された土は、四人分の墓穴を掘るには具合が良く、また永琳自身の強大なる力と弾幕の力も助けて、そう時間の掛かる体力仕事にはならなかった。 雨が止んだのも幸いだ。お陰で亡骸を水に埋めるという災難にならずに済んだ。しかし冷えた空気は、労働者の士気と体力を一層に奪う。香霖堂で借りた防寒具があったものの、あまり長く座り込んでいると身体に悪い。そう思い、永琳は彼らに声を掛けただけだ。 「ああ。手伝ってもらって悪ィな」 「シュトロハイムは私がここで初めて会った人間。縁ある故に、あのままだとこっちの後味も悪い。そう思っただけよ」 シュトロハイム。霖之助。橙。死線を共に潜った仲間達は死に、こうして弔いの機会を借りたジョセフは彼らを休ませる事にした。 最後の最期まで膝を屈することなく立ち続けた鉄の兵士も、陰ながら白兎のフォローに徹した半妖の商い人も、人知れず主と闘っていたか弱き黒猫も、全てを墓に入れた。 ついでとなるのは悪いが、藍が殺害したと思われる宮古芳香の首も埋めてあげた。首だけなので墓というには小さめだが、あのままにはしておけない。 「貴方は、良いの? 仮にもその妖狐は彼らを殺した張本人。そんな奴を、よりによって同じ墓に入れるなんて」 永琳にとって少し予想外だったのは、すぐ近くの川沿いにて倒れていた八雲藍の焼死体。主催から受け取った参加者位置リストにより判明した彼女の死体位置が、ジョセフとてゐに同様の意見をもたらした。 それはつまり、八雲藍の遺体も墓に入れてあげようという内容である。しかも、そのあられない骸は橙の墓と一緒にするというもの。橙の体格は小さめであるので、二人一緒というスペースは確保できる。だが…… 「話を聞くに、橙を殺した相手は主人の八雲藍のようなものよ。そしてまた、その藍を殺した相手も皮肉な事に橙。その二人を同じ墓に?」 「分かってるよ、アンタの言いたい事は。でもよ……俺はこれでいーんじゃねえかなと思ってる。元々、この二人は主従らしいしな」 今は土を被さった墓を見つめながら、ジョセフはトーンを落とした声で返答する。 橙は暴走する主を救うが為に、敢えて八雲藍と闘う道を選んだ。結果、二人は相討ちの様な形で終止符が打たれ、共に焼け爛れた亡骸を晒す悲劇となった。 普通ならそんな相手にまで墓を用意する作業など踏む気にはなれないし、ましてや同じ場所に眠らせるとなると、死者たちの尊厳にヒビを入れかねないのではないか。 永琳がそんな疑問を呈したのは、ごく普通の感覚だ。 そうだとしても。互いを抱き合うように、母と娘のように支え合う形で墓に入れられた彼女らの間に愛がなかったわけがないと、ジョセフもてゐも今なら断言できる。 単にそれは、熱作用により筋肉内の蛋白質が凝固し筋肉が収縮しただけ。肘関節や膝が折れ曲がり、ボクサーがやるファイティングポーズの様な格好が二人して抱き合う形に見えただけであると、医学の視点から見た永琳はそう評す。 心中では冷静に物事を見たが、それを口にするには憚られる。ジョセフとてゐ、そして火傷により表情はとても確認出来ないが、藍と橙の顔を見ればそんな無粋な言葉など吐けるわけもない。 だとしても永琳は思う。 微生物の活動がないこの地にて、墓に死人を入れる行為にはどこまで意味が用意されているのか。どれだけ深く埋めようが、彼らの体が土に還ることはないというのに。 「所詮、俺の自己満足なのさ。弔う、って行為はな」 瞑想していた瞼を開き、男は巨躯を立ち上げて背後に語りかける。体格に似合わず、優しい背中だなと永琳は思った。 「死、ってのは託す事だと俺は思う。それは与えるだとか、渡すだとか、とにかく……残っちまった奴らに、そういった『繋がり』みてーなヒモを握らせる。 一方的な押し付けだとも思うがよ。確かなのは、俺達はこいつらのお陰で生きている。その事実を忘れねーように、こうして感謝と繋がりの証として墓を立てる。そう考えずには、いられなくってよ」 死が、繋がりを生む。時としてそれは強固に、残った縁者を立ち上がらせる為に。 月の民にとって、理解を得難い概念だ。死は穢れそのものであり、何よりそれを毛嫌う彼女達が、寿命の無い彼女達が、死に意味を見出すことはない。 永琳には、ジョセフの気持ちを真に理解など出来ようもない。 「……てゐも、同じ考えかしら」 何故かいたたまれない気持ちが湧いてきた永琳は、味方を作るように身内の心中を探る。 「ん……まぁ、ね。私も一応、託されたみたいな形だし。お墓ぐらい作ってやらにゃあ、ちと申し訳ないかなーってさ」 ひとひらの雪欠片を、それと同じくらい白い肌に乗せながらてゐは言う。なにか、彼女らしくない。 そんな部下の姿を見て、永琳の心のどこかがチクリと傷んだ。これは以前にも感じたことのある痛みだった。……どこだったろう。 「おうお前ら。花でも添えようかと思ったが、悪ぃが近くには無かった。ちっせぇしケチくせぇが、俺の手持ちで我慢してくれよな」 ひとしきりの祈りは終え、ジョセフが少しだけいつもの調子に近いトーンに戻り墓へと語る。彼が花代わりにと、それぞれの墓に入れたのは三つ葉のクローバー。 ジョセフとてゐ、そして橙を繋いだ必殺の切り札であり、今では葉それぞれが一枚ずつ千切られてシュトロハイム、霖之助、そして橙と藍の墓に収められていた。 幸運の象徴を死者への『花向け』とするには少しおかしいが、これも繋がりを断ち切らぬ為。ちょっとしたまじないのつもりである。 「んじゃー、そろそろ中入ろっかジョジョ。“すとーぶ”でも点けて少しあったまろうよ」 「へ? 幻想郷ってストーブあんの?」 「あの冴えない店主の形見だよ。頑なとして売ろうとしないんだよね」 暗い表情など、この二人組には似つかわしくない感情だ。知らずの内に距離を縮めていく彼らの後ろ姿を眺めながら、永琳だけは未だ顔を曇らせたままに遅れて歩みだした。 因幡てゐ。家族とも呼べる彼女の顔が、永琳の知るそれとは少しだけ───違って見えた。 何故だかそれは、永琳の心に不安という暗雲を生んでいることに……本人はまだ自覚できずにいる。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 窓の外を疎らに降る雪木の葉を視界に入れながら、三人は再び店に戻りストーブで暖を取る。まだ焦げ臭さの残る屋内ではあったが、今暫しの方針タイムが三人には必要であった。 目下のところ彼らを悩ませているのは、まずはテーブルに置かれた二枚の『半券』である。 「さて……これ、どうする?」 いーっと歯茎を横に引き伸ばした苦い表情を作りながら、ジョセフは他二人に意見を問う。その目付きといえば、意図せず掘り起こしてしまった古代呪物の処分に悩む若き学者を連想させる。 「不気味……だよね。しかも二枚」 相棒と非常に似通った微妙なる笑みを引き攣らせながら、てゐもそのブツを睨み付ける。不吉そのものを模した紙切れは、触った瞬間に祟りでも引き起こしそうである。 「どうするも何も……貴方が望んだ『願い』なのよこれは。ジョセフ・ジョースター?」 一方で、永琳はいたって平静にその半券を舐め回すように見つめている。彼女の言うように、その呪われし二枚の紙を望んだのは他でもないジョセフなのだ。 「第三の願い───『主催二人との対話』……及び『勝負』。崖っぷちで唱えたにしては、中々ナイスな願いだったと思うけどね」 皮肉を利かせた微笑を浮かべる永琳は、『赤』と『青』の二枚の半券を手に取り観察する。 それは、チケットだった。劇場へ入る為に売り場窓口で購入する、あんな感じの、極々通常の、赤と青の、アレだ。 太田から最後の願いを迫られ、半ば慌てて口をついたジョセフの願いがこのチケットに込められているのだ。 あの時、ジョセフと太田との通信で交わした最終的なやり取りはこのような内容だった。 『よし! 決まったぜ、太田! 三つ目の願い!』 『いよいよか。思うに、この三つ目こそがジョセフの本命なんだろう? ンフフ、それじゃあ、聞こうか』 『ああ、三つ目の願いは───…………~~~~っ! お、俺を……テメェが偉そうに居座るそこにまで連れていきやがれッ!』 『……………………』 『…………………………………………』 『………………………………………………………………』 『イヤなんか言えよテメェ!!』 『……あっ、ゴメン。いやね、一周回って随分ストレートなやつが来たなと思ってね』 『シ、シンプルイズベストだろーがよ! 俺らをこの会場に連れ込んだんだ、逆だって余裕の筈だぜッ!』 『そりゃあ、まあ余裕だとも。でもさあジョセフ。それを簡単にさせない為に、僕達は随分と苦労を掛けてるもんさ。君、僕が素直にその願いを聞くと思って今の願い事を言ったのかな?』 『ああ、そうだとも。お前は絶対に聞かなきゃなんねェ。それがそっちの義務だろうが』 『義務、ねえ。僕は単に、好きでやってるつもりだけどなあ。君は今、お願いを“聞いてもらってる立場”であることを理解して欲しいものだけど』 『オイ、勘違いしてんのはそっちだろうが。歩み寄ってンのは俺の方だぜ! ……分かりやすいように言い直してやろうか?』 『恐縮だね。お願いしていいかい?』 『俺と! お前! 直に話させろっつってんのッ! こんな狭っ苦しい画面越しじゃあねー。俺はお前と直接『対話』してーんだよッ! この呑んだくれが!』 『んーー…………もう一声、かな?』 『俺と勝負しろよ太田順也ッ! その薄汚ねぇニヤケヅラ、波紋パンチで綺麗に整形してやるッ!!』 『………………ん~~』 『…………ッ』 『…………ンッフフ! なるほど対話……、勝負ねえ。そうこなくっちゃあジョセフじゃないよねえ』 『イエスの返答と受け取っていいか?』 『だが! 悪いけどジョセフ。他参加者だって一生懸命頑張ってる中、君だけ抜け駆けなんて少しズルいなあ』 『やかましーぞッ! 今になってズルいもエロいもあるか! お前が持ち掛けてきた願い……』 『今日の深夜24時以降!』 『……なに?』 『つまり第四回放送“以降”! その時になったら、君にチャンスをあげよう。臆面もなく僕と勝負だなんて言ってのけた、君の素晴らしい勇気に敬意を表してね』 『……24時、以降』 『この通信が終わった後、君のデイパックに眠る紙を広げてごらん。二枚のチケットを送ろう。そいつを今日の深夜24時以降、第四回放送以降に切れば、その者が僕らの元に来るよう手を打とう』 『二枚、っつー事は……』 『あーゴメン。余計な質問はもう無しにしようよ。こっちとしてもね、これが精一杯の譲歩なんだ。考えてもみなよ? 言い換えるなら僕は、参加者に主催討ち取りのチャンスを与えてるようなものだ』 『本来ならありえねー高待遇、って言いたいワケ? ケッ! そっちの都合で勝手にクソゲームに放り込まれ、丸一日生還できた褒美が冴えないオッサンとの会話だなんて、ゲロゲロ~! 罰ゲームの間違いじゃねーの?』 『フッフッフ! これは君が望んだ事でもあるんだよ? まあ本音言うと、僕だって君と直で対話したいというのは嘘じゃない』 『……さっきから聞いてりゃよォー。なあ、俺アンタとどっかで会ったことある? 無いよね? 何でそんな、一方的に俺を知ってるフウに話すの?』 『質問は終わりと言った筈だよ? 精々、君にはそれまでに生き残って欲しいと切に願おう。 …………ん? あ、いや何でもない。とにかくこれで君の三つの願いは叶えられる。前二つの願いも含めて、生き残りに貢献できるようここから祈っているよ』 『おい太田! てめえ、首洗ってついでに風呂にでも入って待っとけよッ! 第四回放送以降だな!』 『お風呂ならとっくに楽しんだもんさ。さて、それじゃあ例のアレいってみようか。Hail 2 U(君に幸あれ)!』 ジョセフに突如として舞い降りた、幸運とも不運とも言い難い強制イベントはこれにて終了である。 得た物は、考えようによっては特大の利だ。情報と、チャンス。それもかなり質の高い物であり、これらをデメリット無しに入手出来たことは幸運と言わざるを得なかった。 「これもお前さんの『幸運』のお陰かねえ。あんな不気味なオッサンよりもカワイ子ちゃんと会話したかったがな」 「居るでしょ。カワイ子ちゃん、ここに居るでしょ」 「うっせチビ」 目の前でキャアキャア騒ぐ大男と小女は、まるで仲の良い兄妹のようだ。比較的静かな性格の多い永遠亭でも、てゐはちょっとしたムードメーカー的存在である。共に卓を囲む時などは、姦しさの中心にだいたい彼女が居る。 その長い耳をはためかせながら常に外を歩き回っているせいか幻想郷の噂にも耳ざとく、外から面白楽しい話を土産に持ち帰ってくるのは彼女である場合も多い。 晩餐の味付けに細かく意見を挟みながら話を盛り上げるてゐに、鈴仙が面倒くさそうな顔でツッコミを入れる。そんな光景を輝夜はいつも通りの微笑で会話のバランスを平らに広げつつ、永琳が控えめのポジションから見守る。 いつの日か出来上がった、日常。 永琳の心に仕舞われたアルバムの中のてゐは、果たして目の前の彼女と同じ瞳を浮かべているだろうか。 不毛な詮索でしかない。てゐはてゐであり、彼女がこうして生きていられたことに今はただ、感謝すべきなのだから。 「お二人さん。じゃれ合いもいいけど、今考えるのはこの『チケット』ではなくって?」 賢者の一声で二人は嫌な現実に目を向けなおす。太田からプレゼントされたこの二枚のチケット、何が不気味かと言えばまず、デザイン柄がないのだ。 有効期間【第二日目00:00~】 淑女専用 ※注意! 青と赤のチケットを同時に切らなければ効果は発揮しません。 簡素にプリントされたこれのみの文字列が右端っこに記されているだけで、後は本当に赤と青それぞれの配色に塗り潰されているのみの単調な半券。ちなみに青色の半券には『紳士専用』と記されていた。 「でもお師匠様。ようはジョジョが願ったとおり、四回放送以降にこれ切れば勝手にアイツらのとこにワープみたいなことになるんじゃないの?」 てゐが軽い口ぶりで赤のチケットを手に取る。永琳としても概ねそれと同じ予測ではあったが、このチケットについてはもう少しだけ考えられる余地が残されていた。 「二枚、あるわね。赤と青」 素直に考えれば『二人分』。つまり奴らの元へ乗り込める定員数は二名までという事になる。ジョセフが勢いよく放った願いは『俺をそこへと連れていけ』であったに関わらず、太田はサービスのつもりなのかもう一名分の入場許可証を用意してきたのだ。 考えるべきはそこである。紳士と淑女の二名分、つまりこれは『男』と『女』が二人同時に主催の元へ辿り着ける仕組みだ。 敢えてそうする理由は何か。そもそも参加者を主催の元にまで連れていくこと自体、奴らにとってはかなりのリスクがある筈だ。このチケットはジョセフが突発的に、予定無しに急遽申し込んできた不躾な挑戦状なのだ。 そのわりには、どこか予定調和というか……まるでチケット自体は最初から用意されていたかのようだ。それがジョセフの思わぬ願いにより、予定を前倒しして特定個人に配った、とも取れる。 (今の通信、荒木の姿はどこにも無かった。……太田個人が独断で接触を図ってきた?) 単に荒木が会話の邪魔にならぬよう引っ込んでいたと言えばそれまで。しかし、先の太田は妙に時間的余裕のなさを気にしていた素振りも見えた。 ───太田と荒木の間に、何か確執がある? 得体の知れない怪人、太田順也。そして荒木飛呂彦。 この二人の関係。殺し合いゲームに歪を見付ける突破口があるとするなら、そこか。 「……てゐ。そしてジョセフも。私が今から話すことを落ち着いて聞きなさい」 特にてゐには話さないわけにはいかない。参加者全員、そして永琳自身がここへ連れられた時間軸の『ズレ』を。 永琳の話を聞く二人は事前にそういった予想をしていたのか、時間軸のズレに対する驚きは然程ではなかった。しかしてゐの知る永琳が、数年ズラされた軸から呼び出されたことを聞くと、流石のてゐも紡げる言葉がしばらく生み出せなかった。 永琳はこの幻想郷の人妖へ対して殆ど認識が無い。大前提としてそこを説明すると、次に永琳は本題を話し始める。 「私が訊きたいのは、この名簿前半に書き連なる名前……その『性別』なのよ。てゐ、今の貴方なら分かるはず」 鈴仙との電話から軽く聞かされてはいたが、ここで改めて裏付けを取らなければ。永琳は名簿前半……幻想郷に住む者達の性別を部下の口から言質を取った。 「全員詳しく知ってるわけじゃないけど、森近霖之助以外は『女』だと思うよ。名簿後半部分は……さっぱりわかりやせーん」 女。名前からして想像はつくが、やはりこの名簿の半分以上は女が占めている。他に今まで出会った参加者から聞き出した情報を精査すれば、恐らく名簿後半の大半は『男』。 何故、このチケットは男女ペアで使用することを前提に作られている? ……別方向から考えてみよう。『女』に当たる部分は、そのまま『幻想郷』へと置き換えられそうだ。ならば『男』の部分は何に置き換えられる? スタンド使い……リンゴォはDISCに頼らない、純粋なスタンド使いだった。てゐが言うに、幻想郷に『スタンド使い』のような人種がいるなど聞いた試しが無いという。 ならば『男』とは『スタンド使い』の事か? ……いや、ジョセフもシュトロハイムもスタンド使いなどではない。彼らは出身や経歴、何もかもが異なるのだ。 所詮、幻想郷側の参加者である自分ではこれ以上の推測は難しいか。敢えていうなら、『男側』に『ジョースター』の名が多いことが気に掛かる。DIOのノートにも度々『ジョースター』の名が記されてもいた。 だがジョセフに訊いても、彼の知る名簿のジョースターはジョナサン・ジョースターのみらしい。情報がまだ、不足している。 辛うじて分かることは、主催はどうも『男側(ジョースター関係者?)』と『女側(幻想郷)』を共に組ませる事に何か大きな意味を見出しているようだ。 突き詰めればそれは、この殺し合いが行われた本来の意味へと繋がる。幻想郷の者達を選抜し、何故全くの別集団と混ぜ合わせる? 少女達とは対を成す男達。何故、彼らなのだ? 男という種は、女とはまるで異なる本質を内在させている。彼らの本質は『獰猛』であり、本能に根差した野蛮性は秩序によって普段は抑えられている。社会や環境が、男達の本能を強制的に取り抑えているに過ぎないのだ。 地上というのは、そういう場所だ。まだ永琳が月へと移住する前、知恵を付けた猿(ましら)の雄共から進化を繰り返し、現在に至るまでその図式は不変を貫いている。そこから秩序を取り除けば、地上などあっという間に不徳義なる男達の独壇場。その末路は荒廃だ。 結局、それは幻想郷とて同じ。だからここでは『命名決闘法』という名の『弾幕ごっこ』が流行っているだけ。女の子の遊びが故に、そこへ男が侵入すれば『ごっこ』ではなくなってしまう。それはもう、ガチでの殺し合いに変貌してしまうのだ。 男女の価値観とは、それくらいに壁がある。永琳は、だから疑問に思うのだ。 何故、この二組なのか? ……と。 「てゐ」 少し、訊くのが怖い質問だ。何故ならてゐは永遠亭の家族の一員という認識であり、彼女に訪れた『変化』が……ともすればそれを壊しかねないと、永琳は危惧している。 「貴方、ちょっと見ない間に……少し、変わったかしら?」 「え? ん~~~……それは、お師匠様にとって今の私が『未来』の私だからそう見える、とかじゃないかなあ」 そう、思いたい。心から。 しかし、そうでないとするならば。その変化の起因とは、想像に難くない場所にある。 てゐだけならばまだ良かった。そういう事もあるかもしれないと、永琳も事態を重くは見なかったろう。だが何の因果か、今より少し前に永琳は同じように、家族の変化を実感してしまう出来事があった。 意図せず、その名を剥奪してしまった『鈴仙・優曇華院・イナバ』。彼女も永琳にとっては家族であり、そしてここに来てから『変化』してしまった者だ。 変化とは大抵の場合、外的要因から発生する精神への影響だ。その変化自体は、永琳とて本来なら喜んで受け入れたい。 だが、変化してしまったが為に鈴仙は『家族』を捨てた。否、捨てさせてしまったのだ。永琳自身が、変化していく鈴仙の心とすれ違いを起こした。 永琳が恐れているのはそこであった。 目の前のてゐも鈴仙と同じく、変化をキッカケとして自分の元から離れていくのではないかと。 永遠亭の家族を捨て、勝手気ままに手の届かない場所へと歩いて行ってしまうのではないかと。 そして次に永琳はこう思う。 輝夜は今、私の知る『輝夜』のままでいてくれているだろうか、と。 考えたくもない事だが、もし彼女までが『誰か』に影響を受け、永遠亭から離れていくような事態になれば…… ───唯独り、変化を止めたあの家に残ってしまった私に……なんの未来があるんだろう、と。 (輝夜……あの子に、逢わなければ) 空いた心の隙間には急激に孤独感が生まれ、心臓を圧迫してくる錯覚が襲う。方向性こそまるで違うが、あの藤原妹紅も思えば『変化』を刻まれていた。もはや別人レベルの変貌だったが、輝夜もああならないなんて保証は何処にもないのだ。 こうなればいてもたってもいられない。幸いなことに輝夜の位置情報は手元に控えており、彼女のすぐ隣にはリンゴォも居るらしい。恐らく伝言を受け、近隣のレストラントラサルディーにまで来ている頃合いか。 「てゐ。蓬莱の薬を持ってたわね? 妹紅がそれを狙っている。私が預かっていた方が安全よ」 まずは蓬莱の薬である。取り扱いの危険な代物故に、シュトロハイムからてゐへ、てゐから永琳へと受け継がれる。 「え……妹紅って、あの人間? アイツがこれを狙ってるって……?」 「彼女には気を付けなさい。今の妹紅はもう……人間じゃない。救えない、怪物に成り下がったわ」 言われた通りに薬を差し出しながら、てゐは永琳の言う妹紅の姿を己の記憶と当て嵌める。自分の知る通りの妹紅なら、この殺し合いを破壊してやるくらいの覇気は豪語してそうだが。 「それとジョセフ。このチケット……『青色』は貴方が持っておきなさい」 太田はあの通信でこう話していた。 『この通信が終わった後、君のデイパックに眠る紙を広げてごらん。二枚のチケットを送ろう。そいつを今日の深夜24時以降、第四回放送以降に切れば、その者が僕らの元に来るよう手を打とう』 チケットを切った『その者』が、彼奴の元へ呼ばれるのだと。つまり、必ずしもそれはジョセフとは限らない。願った本人はジョセフだが、条件を満たした者であるなら誰でも行けると捉えられる言い方だった。 太田本人の希望はどうもジョセフとの対話を望んでいたみたいだが、やはりこのチケット……端から用意されていた物だと考えた方が自然だ。 主催には元より、第四回放送までを生き残れた男女ペアと対話するイベントがゲーム開始時点で脚本にあったのだ。今回ジョセフの願いにより、予定よりかなり早めのチケット配布(それも特定個人への入れ込み)が行われた可能性が高い。 未だ太田と荒木の関係性は謎だが、とにかく青チケットはジョセフが所持していた方が賢明だろう。 赤チケットの方は考えるまでもない。使用条件が『ゲーム第二日目まで生存している女性』ならば…… 「こっちは私が預かるわ。主催に堂々接触できるチャンス、これを機に……」 ───奴らの能力の『謎』を解明し、奪取してやる。 ゲーム開始以降より永琳が抱いていた思惑だ。 鈴仙曰く、未来において月との関係は必ずしも険悪なものでない事実が分かった。永琳が最も怖れる月からの討伐司令が来ない以上、当初の『主催が持つ能力奪取』という目的の優先順位は下がった。 だがそれでも、万が一だって起こる。念には念を。取れる最善行動は取っておく。 だからこの赤チケットは、自分が持つべきだ。 決意を固め、永琳はテーブル上に残った赤色の半券を手に取り、大切に紙に入れておこうと荷を取り出して…… 「あ、あの! お師匠様」 てゐの声が、遮った。 「……なにかしら?」 「いや、その~……なんて言うか、まあ、良かったらでいいんだけど……えと、その赤チケットの方、なんだけど」 やめろ。何も言わなくていい。 貴方らしくない。だから、その先はどうか……言わないで。 そう、懇願する。永琳にはこれからてゐが何を言おうとしているか、察しがついてしまった。 「───私に、預けてみないかな~、なんて……ダメ?」 ぎり、と歯軋りの音が鳴った。 「……理由を訊いても、いい?」 物事には理由があり、キッカケがある。 てゐの発言の根源には恐らく……隣の男が大きく関わっている。 「えっと、さ………………わたし、異変解決、頑張ってみよっかな~、って思ってる」 その言葉がどういう意味か。長きに渡りてゐと関係を続けてきた永琳にとって、彼女の心境の変化がもたらすモノが善とは限らない。 「私の話、聞いてた? このチケットを持つということは、主催と『戦う』可能性があるって事なのよ?」 「そう、なんだよね……。すごく嫌なんだけど、どうしてだろ。……それでも私、やれるだけやってみたい」 てゐの踏み出す一歩は、彼女の人生にとっては果てしなく大きな一歩かもしれない。 踏み出したその一歩が……永琳にとっては果てしなく遠い背中にも感じる。 てゐと鈴仙の後ろ姿が、どうしても被って映る。 「……5分の1よ」 「え?」 「一度目の放送では、18人死んだ。次の放送でも18人。参加者は全部で90人なのだから、ここまで丁度5分の1ずつ放送ごとに落ちていってる。 このペースが続くなら、次の第三回放送では54人死に、残り5分の2。主催が提示した第四回放送になれば72人が死ぬ。残った生存者は5分の1」 無論、こんな簡単な計算で進行するほど殺し合いは単純ではない。多少なりともこの数字にはズレが生じてくるだろう。あくまで現在のペースでしかないが、しかし。 「てゐ。貴方……この残生存者18人のうちの1人に入るまで、律儀に異変解決を謳っていくつもりなの?」 てゐは弱い妖怪だ。そんな彼女が第四回放送まで生き残るというのは、相当に高いハードルだと見立てている。 「それでも、だよ」 それでもてゐの瞳は、弱々しくもブレずにいた。真っ向から永琳を見つめていた。 「それは、私の庇護を離れて……という意味で?」 「そう、いう事になる……のかな」 何がてゐを変えたのか。彼女は自ら檻の外に出て、元凶との対峙を求めているという。 それがどんなに千荊万棘の道程なのか、分からない娘でもあるまいに。 「お師匠様。私は──────ジョジョと頑張ってみるよ」 自惚れないで。貴方の掲げるそれは『変化』でなく、ただの『のぼせ上がり』。 妖狐を撃退し、自分には可能性があると増長し、自らの胸中に立ち上る熱い空気に呑まれているだけだ。鈴仙と同じ轍を踏んでいるに過ぎないのだ。 いつもの様に困難を避け、強者の背に隠れながらチロリと舌を出していればいい。 それが因幡てゐという女である筈でしょう。だから行かないでいい。帰ってきなさい。 「…………そう」 ───それらの言葉は、とうとう出てこなかった。 「……そっ、か」 チケットを持つ腕が震えてやいないだろうか。こんな弱々しい姿はとても見せられない。見せたくない。 ここでてゐを止めるのは簡単だ。だがそれをしてしまえば、彼女の決断を否定する事になる。それでもてゐは永琳を恨むことはしないだろう。 命が掛かっている。永琳は純粋にてゐの安全を考えている一方で、彼女の選択を嬉しく思うのもまた事実だ。 だが、てゐも鈴仙も変化により永琳の元を去りつつある。数十年と共に暮らしてきた永遠亭を捨て、明日の見えない未踏の地へと歩み出している。 それが、寂しかった。 そう……寂しいのだ。この気持ちの正体は、こんなにもありふれた感情で、こんなにも自分を惨めとさせている嫉妬心でもあった。 「ねえ……どうして? 貴方じゃなきゃいけないなんてことは無いはずよ。……どうして、貴方はジョセフと?」 『家族』として、知っておきたかった。 因幡てゐの心をそこまで動かした存在。彼は、てゐにとってどんな男なのだろう、と。 「うーん………………『相棒』だから、かな。ジョジョは」 はにかんだように、少女はふにゃりと答えた。 それもまた……ありふれた理由、なのかもしれない。 握りしめていた手の中のチケットは、いつの間にかくしゃくしゃになっていた。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ ゴォゴォと吐き出されるストーブの熱風だけが、永琳の心を程よく溶かしている。一人きりとなった香霖堂の丸テーブルで、永琳はじっと佇んでいた。 どうしてあのチケットを渡してしまったのだろう。合理的に考えれば、てゐに渡すより自分で持っていた方が圧倒的に理にかなうのに。 主催と合法的に対峙できる無二の好機だった。それを手放した理由が、自分でも分からない。醸された殊勝な空気に流されたとでも? ……馬鹿馬鹿しい。 それだけならまだしも、永琳はてゐ達と共に行動する事を躊躇った。すぐ隣のレストランでは輝夜との合流も待っているというのに、わざわざ別行動を促してしまったのだ。 輝夜との事は私に任せて、貴方達は自分にしか出来ないことを探しに行きなさい、と。こんな当たり障りない、常套句か何かのように体のいい文言で、追い払う様に。 その時のてゐの困惑した表情が忘れられない。この醜悪なる土地で折角逢えた家族なのに、早くも散り散りとされるなんて、彼女は思いもしなかったろう。 「……これも『変化』、なのかしら」 鬱屈した声色と共に吐き出された賢者の溜息は、部屋の温度を幾分か下げた様にも錯覚する。 変化。この言葉は永琳にとって……そして永遠亭にとっては特別な意味を持つ。 永遠の術を施し、月に怯えていた毎晩を過ごしていた彼女である。変化を拒絶してまで得ようとしていた、偽りの日常。その日常という名のカーテンを開け広げ、結果的に永遠亭に朝の光を招いたのが『永夜異変』での顛末だ。 鈴仙から聞いた、間接的な話である。その『運命の日』以降、永遠亭に訪れた急激な変化の毎日は、そこに住む者達をも変えていったらしい。 そう。『らしい』、のだ。 鈴仙も、てゐも、輝夜も、そして勿論、自分をも。変化を受け入れた民は、大きく変容していった……らしい。 それは永琳にとっては未来の出来事。変化を受け入れる前の永琳であるが故に、今の鈴仙とてゐの精神に起こっている変容など、すぐには受け入れきれない。 これより会う輝夜は、果たして『いつ』の輝夜だろうか。彼女は思いの外、順応力のある娘である。そして、前向きな性格の娘である。 もしも彼女までが変化を受け入れ、永琳の元から巣立ちし飛び立とうとしているのなら…… どうして。 どうして、 どうして私だけを────── 『PiPiPiPi……PiPiPiPi……』 ポケットの中が振動を始めた。携帯電話を突っ込んでいたのを思い出す。画面を見れば、見覚えのある番号だ。 まさか折り返してくるとは。永琳は驚きと逡巡の末、鳴り終わらない内に電話のボタンを押し、ゆっくりと耳に当てた。 「…………もしもし」 『おっ、やっと出てくれたね。いやぁ、警戒して取らないんじゃないかと思って切ろうとしてた所だよ』 予想通りではあるが、声の主は太田順也。先程パソコンを通して聞いたものと同じ男だ。 「用件は」 『ンフフ。なんだ、随分と冷たいなあ。それとも珍しくセンチな気分かい?』 「まるで私の普段をよく知ってるような言い方ね」 『あはは。ちょっと話しただけでこれだよ。だから君とはあまり会話したくなかったんだけどな。何を探られるか分かったもんじゃない』 先の通信との一過程を思い出す。太田はやけに永琳との会話を嫌う節があったが、興味が無いというのはただの方便であり、実際は何てことない。 要は恐れているだけだ。月の天才と腹の探り合いなど、不毛で採算の取れない、リスクばかりの大きい会談でしかないのだと。 「じゃあ、どうしてわざわざ電話なんかを?」 『君の勇気に対し、賞賛も何も掛けないんじゃあ悪いかなと思ってね。……さっき、ジョセフとの会話中に僕の携帯電話にワン切りしてきたのは君だろう?』 ふん、と永琳は小さく、当てこすりのように鼻を鳴らした。太田の言う通り、先程の太田とジョセフとの通信中に、永琳はちょっとした橋を渡ったのだ。 次のような内容である。 『───質問は終わりと言った筈だよ? 精々、君にはそれまでに生き残って欲しいと切に願おう。 …………ん? あ、いや何でもない。とにかくこれで君の三つの願いは叶えられる。前二つの願いも含めて、生き残りに貢献できるようここから祈っているよ』 このタイミングで、太田はその辺に置いていたであろう自らの携帯電話が振動したことに一瞬だけ反応した。いわゆるマナーモードに設定していた為、通信の中にメロディが入り込むような失態は犯さなかったが、太田の目の届かぬ死角から携帯電話を弄っていた永琳の目からは一目瞭然であった。 『確かに君に配布した携帯電話の中には僕の番号もある。だが、その番号リストのどれが誰に繋がるかなどは分からない』 「そうね。だからリスクを覚悟して、あのとき貴方の見えない死角からとにかく適当に電話を掛けていったわ」 余計な相手が万が一電話に出ないよう、ワン切りを続けては次の番号に掛けていく。下手な鉄砲も数を撃てば、主催にぶつかるかもしれないと予測を立てて。 まさか本当に主催の番号まで混じっていた事には驚いたが、節々に遊び心を見せる主催二人の事だ。その可能性はゼロではないと永琳も予想し、このような行為に出た。 そして、とある番号に掛けた瞬間、通信中の太田が反応したのを見て、永琳は当たりを引いた事を確信。 こうして永琳は主催に繋がる連絡先をいとも容易く発見した。 『うーん、確かに僕はあのとき君に会話や筆談を禁止したけど、イタズラ電話はダメとは言ってなかったからなあ。失敗したよ、流石は“元”月のお偉いさんだ』 妙に“元”の部分を強調された気がする。太田の見せる嫌味に永琳は内心、深い嫌悪を抱いた。 『でもね、永琳。だから何だと言うんだい? こちらへの連絡先は元々僕が用意しておいたものだ。君がその番号の正体を知ったからといって、今後僕らが和気藹々に連絡し合えると思ったら……』 「大間違い、でしょ?」 そんな事は永琳とて重々承知の上で、敢えてリスクを冒した。今回こうして太田側からアプローチを仕掛けてきたのは、彼の言うとおり『称賛』する為、ただそれだけだろう。 少しでも太田の気分を害する事があればどうなっていたか分からない。それでも永琳はリスクに背を向けず、半歩でも前進しようと足を踏み込んだ。太田は、そこに感銘だのなんだの受けて、折り返しの電話など掛けてきたに過ぎない。 こんな番号が知れた所で、永琳にとって大した利にはならない。しかしそれではあんまりだと、太田は情けをかけるような褒美として再び会話の機会を設けてきた。 癪に障る男だ。 『まあ、単に言葉で称えたところで君にとっては皮肉にしか感じないだろうね。 ……そこで永琳。褒美として君には一つだけ、僕への質問を許そう。何でも答えてあげるよ』 ……本当に、ふざけた男。 『ジョセフばかり優遇するのもなんだと思っただけさ。さ、来なよ永琳。このチャンス、モノにしないと勿体無いと思うよ?』 コイツの発言に釣られるな。返ってくる答えを証明する手立てがあるかも分からない。この男は参加者をただ、振り回したいだけなのだから。 「質問……ね」 爆弾の解除方法。 この土地が何処にあるのか。 お前達の正体。 どれもこれも、愚問にしかならない。マトモに取り合うとは思えないのだ、こいつが。 だから永琳は、心に浮き出た……ふとした『疑問』をなんとなしにぶつけた。 彼女らしからぬ、合理性や論理性なんて欠片も見えないような……至極どうでもいい質問を。 「───じゃあ一つだけ。貴方はどういう基準で、私をここへ呼んだ時期を選んだの? どうして。 どうして、 どうして私だけを……わざわざ『変化』から取り残されるような時期から呼んだの?」 いま、永琳が心の中でどうしようもない孤独感にのしかかられているのは……彼女がまだ、変化を受け入れようとする前の彼女だからだ。 周りだけが自分を置いて歩もうとしていく様を不変の屋敷から見送り、それを寂しく思っているからだ。 不器用ながらも愛情を以て接していたウサギ達とのすれ違いが、彼女らの巣立ちのようにも思えて不安だからだ。 明らかに主催の作為を感じる。太田共は敢えて、鈴仙やてゐ達の住んでいた時間軸よりも過去の永琳を選んで呼び出した。 そこに理屈や道理が存すると言うのなら、問い質したい。 『八意永琳。君は、強すぎるからねえ』 そして男は、たっぷりに溜めを作ったのち、吐き出した。 『ドラマというのは、人の葛藤や弱味を本人が自覚して初めて生まれるものだと僕は思う。 これは僕の意図した筋書きではあるけど、結局のところこれから歩む意思は君自身のものだ』 予想通り、だ。この男は予想通りの返答を決めてくれた。 だから余計に、虫唾が走る。 『さあ。君の本当の敵とは誰だ? 討ち倒すべくは天上より神の如く一望する我らかい? それとも案外、身近な所から軋みは這い寄ってくるのかも。……天才にはあまり馴染みのない問題かな?』 そして予想以上に、下衆でもあった。 だから余計に、苛立ちが治まらない。 『完成された天才など、何も面白くない。僕は心から、君が足掻く様を見てみたい』 完成、と言った。 天才とも。 もしも本当に、自分がそうであったなら。 あの日……罪など、決して犯さなかったろう。 私はただ、幸せになりたかっただけなのに。 『最後にこれだけは言っておかなくっちゃあね。 ───Hail 2 U(君に幸あれ)』 君に幸あれ。 本当に、これ以上に嫌味な言葉はない。 ツーツーと無機質な機械音が鼓膜に響き、八意永琳は暫く無言で佇んでいた。 やがて陽炎のように、フっ……と、可動を再開して窓を覗くと。 綺麗な小雪模様と共に映る、やけに疲れた瞳がこちらを睨んでいた事に気付く。 小さく舌打ちを鳴らし、暖かな風を送り込んでいたストーブの火を気だるげにパチりと消して……女は香霖堂を後にした。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 【D-4 香霖堂/真昼】 【八意永琳@東方永夜抄】 [状態]:精神的疲労(小) [装備]:ミスタの拳銃(5/6)@ジョジョ第5部、携帯電話、雨傘、タオル [道具]:ミスタの拳銃予備弾薬(残り15発)、DIOのノート@ジョジョ第6部、永琳の実験メモ、幽谷響子とアリス・マーガトロイドの死体、 永遠亭で回収した医療道具、基本支給品×4(永琳、芳香、幽々子、藍)、カメラの予備フィルム5パック、シュトロハイムの鉄製右腕、蓬莱の薬 [思考・状況] 基本行動方針:輝夜、ウドンゲ、てゐと一応自分自身の生還と、主催の能力の奪取。 他参加者の生命やゲームの早期破壊は優先しない。 表面上は穏健な対主催を装う。 1:レストラン・トラサルディーに移動。 2:しばらく経ったら、ウドンゲに謝る。 3:柱の男や未知の能力、特にスタンドを警戒。八雲紫、藤原妹紅に警戒。 4:リンゴォへの嫌悪感。 [備考] ※参戦時期は永夜異変中、自機組対面前です。 ※シュトロハイムからジョセフ、シーザー、リサリサ、スピードワゴン、柱の男達の情報を得ました。 ※『現在の』幻想郷の仕組みについて、鈴仙から大まかな説明を受けました。鈴仙との時間軸のズレを把握しました ※制限は掛けられていますが、その度合いは不明です。 ※『広瀬康一の家』、『太田順也の携帯電話』の電話番号を知りました。 ※DIOのノートにより、DIOの人柄、目的、能力などを大まかに知りました。現在読み進めている途中です。 ※『妹紅と芳香の写真』が、『妹紅の写真』、『芳香の写真』の二組に破かれ会場のどこかに飛んでいきました。 ※リンゴォから大まかにスタンドの事は聞きました。 ※真昼の時間帯における全参加者の現在地を把握しました。 ○永琳の実験メモ 禁止エリアに赴き、実験動物(モルモット)を放置。 →その後、モルモットは回収。レストラン・トラサルディーへ向かう。 →放送を迎えた後、その内容に応じてその後の対応を考える。 →仲間と今後の行動を話し合い、問題が出たらその都度、適応に処理していく。 →はたてへの連絡。主催者と通じているかどうかを何とか聞き出す。 →主催が参加者の動向を見張る方法を見極めても見極めなくても、それに応じてこちらも細心の注意を払いながら行動。 →『魂を取り出す方法』の調査(DIOと接触?) →爆弾の無効化。 『因幡てゐ』 【真昼】D-4 香霖堂 近隣 因幡てゐはジョセフの頭にだらだらと顎を乗せ、力ない声で呟いた。 「まさか本当にくれちゃうとはなあ……」 その右手には件のチケットが風に揺られ、ヒラヒラと舞っている。彼女を鬱陶しそうに肩車する形を取っているジョセフも、頭上から届く声を会話にして投げ返す事で、何となく居心地の悪い空気を少しでも清浄しようと試みた。 「お前が望んだ事だろーよ。あのオンナ、俺から見りゃあ純粋にお前の心配してるように見えたぜ」 「そうだけどさあ……」 自分達を見送った永琳の、あの時の表情が気になるのだ。どこだか寂しそうに手を振る彼女の、疲れたような表情が。 確かにてゐが発した意見は、永琳にとっては驚くべき変化にも見えたかもしれない。その事に自分が一番驚いているし、馬鹿な選択を取ってしまったと思う。 だって、誰がどう考えたってこのチケットは自分のような弱者でなく、お師匠様みたいに知略縦横な英傑が持つべきだろう。あの人なら間違いなく、私などよりずっと巧みにコイツを活用してくれる。 どうしてお師匠様は、私にこれを譲ってくれたのか。天才には天才にしかわからない、苦悩みたいなものがあるのだろうか。 それとも……私は利用されているのかな。 「いつまでもウジウジ悩んだって仕方ねーだろ。お前、スゲー幸運なウサギなんだろ? もしかしたらあのオンナよりも成果出せる可能性あると思うぜ、俺は」 「……それ、気でも遣ってる?」 げしげしと、てゐの短い足がジョセフの胸を蹴った。降ろすぞと脅されたてゐは、蹴る代わりにもう一度溜息を吐いてジョセフの髪をなびかせた。 プレッシャーなのだ。このチケットは下手すれば、地獄行きの片道切符であり、二枚一組のこれをジョセフと所持するという事は、藍の時と同じようにまたしても共同戦線を張るに等しい。 それだけでなく、このチケットの存在が他参加者に知られようものなら、思い付く展開は悪い方向に偏るばかり。何故なら主催者と合法的に会えるという手段は、人によっては喉から手が出る程に欲する大チャンス。 その相手が穏便に事を済ませるタイプならまだ良いが、暴力に物を言うタイプであるなら、ジョセフとてゐはターゲットになりかねない。 八雲藍と戦い生き残りはしたものの、結果がそのまま自信に繋がるなどということは無かった。あの戦いに、勝利者は存在しないのだから。 「あ~~~~~やっぱりお師匠様に渡しておけば良かったかな~~~~~。不安だわー心配だわー。およよよよ……」 「あのな! そういう台詞をよォー、俺の頭のすぐ上で吐き出さないでほしいの! 幸運が逃げちまうだろ!」 「幸運は逃げやしないよ。アンタの肩に足ぶら下げて居候してんだからさぁ」 口うるさい相棒同士が、上下に重なって道を突き進んでゆく。肩に触れるとすぐに溶けてしまう雪が、彼らの先行きの不鮮明さを嘲笑うように歩行を遮っていく。 「あ、」 「どうした? てゐ」 「そういえば……あの『DISC』の事、忘れてたなって」 火薬庫に眠る爆弾は、未だ息を潜めて彼らの懐で寝息を立てている。 今尚、導火線に火が灯ることなくいられるのは、二人の併せ持つ幸運ゆえか。 もし、そうでないのなら。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 【D-4 香霖堂 近隣/真昼】 【ジョセフ・ジョースター@第2部 戦闘潮流】 [状態]:精神消耗(小)、胸部と背中の銃創箇所に火傷(完全止血&手当済み)、てゐの幸運 [装備]:アリスの魔法人形×3、金属バット、焼夷手榴弾×1 [道具]:基本支給品×3(ジョセフ、橙、シュトロハイム)、毛糸玉、綿、植物油、果物ナイフ(人形に装備)、小麦粉、香霖堂の銭×12、スタンドDISC「サバイバー」、賽子×3、青チケット [思考・状況] 基本行動方針:相棒と共に異変を解決する。 1:参加者現在地を踏まえて、行き先を決める。 2:こいしもチルノも救えなかった・・・・・・俺に出来るのは、DIOとプッチもブッ飛ばすしかねぇッ! 3:シーザーの仇も取りたい。そいつもブッ飛ばすッ! [備考] ※参戦時期はカーズを溶岩に突っ込んだ所です。 ※東方家から毛糸玉、綿、植物油、果物ナイフなど、様々な日用品を調達しました。この他にもまだ色々くすねているかもしれません。 ※因幡てゐから最大限の祝福を受けました。 ※真昼の時間帯における全参加者の現在地を把握しました。 【因幡てゐ@東方永夜抄】 [状態]:黄金の精神、精神消耗(小) [装備]:閃光手榴弾×1、焼夷手榴弾×1、スタンドDISC「ドラゴンズ・ドリーム」 [道具]:ジャンクスタンドDISCセット1、基本支給品×2(てゐ、霖之助)、コンビニで手に入る物品少量、マジックペン、トランプセット、赤チケット [思考・状況] 基本行動方針:相棒と共に異変を解決する。 1:参加者現在地を踏まえて、行き先を決める。 2:暇が出来たら、コロッセオの真実の口の仕掛けを調べに行く。 3:柱の男は素直にジョジョに任せよう、私には無理だ。 [備考] ※参戦時期は少なくとも星蓮船終了以降です(バイクの件はあくまで噂) ※制限の度合いは後の書き手さんにお任せします。 ※蓬莱の薬には永琳がつけた目盛りがあります。 ※真昼の時間帯における全参加者の現在地を把握しました。 〇支給品説明 『赤チケット/青チケット』 主催の太田がジョセフへと渡した、胡散臭い二枚のチケット。 『有効期間【第二日目00:00~】 紳士/淑女専用 ※注意! 青と赤のチケットを同時に切らなければ効果は発揮しません。』 のみの表記がなされており、これを第四回放送“以降”に切れば、その者が主催と会える……らしい。 交差する二つの世界の男女が使用することによって効果が現れる。メタ的に言うなら、ジョジョと東方のキャラである。 178:虹の先に何があるか 投下順 180:Quiets Quartet Quest 178:虹の先に何があるか 時系列順 180:Quiets Quartet Quest 169:Hail 2 U! ジョセフ・ジョースター 181:和邇の橋 169:Hail 2 U! 因幡てゐ 181:和邇の橋 169:Hail 2 U! 八意永琳 189:また来年も、お月様の下で。 169:Hail 2 U! 太田順也 192:雨を越えて
https://w.atwiki.jp/hatuyukiusagi/pages/4.html
ニュース @wikiのwikiモードでは #news(興味のある単語) と入力することで、あるキーワードに関連するニュース一覧を表示することができます 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_174_ja.html たとえば、#news(wiki)と入力すると以下のように表示されます。 【カウンターサイド】リセマラ当たりランキング - カウサイ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) ウィキペディアを作ったiMacが箱付きで競売に登場。予想落札価格は約96万円!(ギズモード・ジャパン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 終末のアーカーシャ(終アカ)攻略wiki - Gamerch(ゲーマチ) メトロイド ドレッド攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【まおりゅう】最強パーティー編成とおすすめキャラ【転スラアプリ】 - Gamerch(ゲーマチ) 【グランサガ】リセマラ当たりランキング - グランサガ攻略wiki - Gamerch(ゲーマチ) アイプラ攻略Wiki|アイドリープライド - AppMedia(アップメディア) マニュアル作成に便利な「画像編集」機能を提供開始! - ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」:時事ドットコム - 時事通信 マニュアル作成に便利な「画像編集」機能を提供開始! - ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」 - PR TIMES 【アイプラ】リセマラは必要?当たりキャラランキング【IDOLY PRIDE】 - Gamerch(ゲーマチ) 篠原悠希×田中芳樹が明かす「歴史ファンタジー小説ならではの悩み」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【Apex Legends】ヴァルキリーの能力と評価【エーペックス】 - Gamerch(ゲーマチ) モンハンライズ攻略Wiki|MHRise - AppMedia(アップメディア) 【ウインドボーイズ】リセマラ当たりランキング(最新版) - ウインドボーイズ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) ポケモンBDSP(ダイパリメイク)攻略wiki - AppMedia(アップメディア) SlackからWikiへ!シームレスな文章作成・共有が可能な「GROWIBot」リリース - アットプレス(プレスリリース) 【ウマ娘】ナリタブライアンの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】ヒシアケボノの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】フジキセキの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) ドラゴンクエストけしケシ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) サモンズボード攻略wiki - GameWith 【スタオケ】カード一覧【金色のコルダスターライトオーケストラ】 - Gamerch(ゲーマチ) 【スマブラSP】ソラのコンボと評価【スマブラスペシャル】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ブレフロレゾナ】リセマラ当たりランキング【ブレイブフロンティアレゾナ】 - ブレフロR攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【ガーディアンテイルズ】ギルドレイド戦(秘密の研究所)の攻略とおすすめキャラ【ガデテル】 - Gamerch(ゲーマチ) 仲村トオル、共演者は事前に“Wiki調べ”(オリコン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【ENDER LILIES】攻略チャートと全体マップ【エンダーリリィズ】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】あんしん笹針師の選択肢はどれを選ぶべき? 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{俺と武器達の会話} 「えぇーと、これはここに置いて…あれはあそこにっと~」 あぁ~ダルイぜ。 アンジェラス達がメンテナンスで家に居ないので、普段忙しくてあんまり家の中の掃除が出来ないのでやってしまおう、と思ったのだが。 「う~ん、やっぱりマバラ過ぎるなぁ」 そう。 掃除されている所と掃除されてない所がクッキリと別れているのだ。 つか、見れば解る。 埃があるか無いかの違いなのだから。 掃除されている所は台所・リビング・玄関・寝室…ていうか、俺の部屋・地下室・風呂・トイレ・ベランダ。 まぁこんな感じだ。 多分生活に必要な部屋はアンジェラスとパルカが掃除していてくれたんだろう。 掃除されている所をまた掃除する必要はないので普段使わない物置・和室・客室を掃除しようとしたんだが…。 これが意外と手間が掛かってな。 結構大変な訳よ。 特に今やってるのは家の外にある物置。 こいつがかなりの手強くて洒落に成らない程の埃とあられ様なのだ。 泣けてくるぜ。 そんな俺をズーッと見ていて呆れたのか同情してくれたのか解らないが、掃除の手助けをしてくれているモノがいる。 <Where is this put?> 「あぁー、それはそこに置いといてくれや」 <Yes> このなんとも機械口調ぽい英語で喋りかけ方で解るだろう。 グラディウスが手伝ってくれているのだ。 勿論、擬人化になってからな。 剣の状態じゃあ手伝えないしね。 因みにグラディウスはアンジェラスの武器。 <Do you end slowly?> 「ワリィワリィ。もう終わったから」 <It is so> グラディウスを右肩に乗せ物置から出る。 「サンキューな、グラディウスが手伝ってくれたおかげでかなり捗ったよ」 <It was good> 外にあった物置から家に入り冷蔵庫から烏龍茶を取り出しコップに注ぐ。 グラディウスはその間に机に移り灰皿を持って来てくれた。 気が利く奴だ。 どっかの天使型の誰かさんと違って怒る必要もいがみ合う必要も無い。 俺はタバコに火をつけ椅子に座った。 「あ~久々に物置の整理をしたぜ。月に一回ぐらい掃除しないと埃とかで汚くなるのが難点だよなぁ」 まったく嫌になるぜ。 掃除は嫌いじゃないが面倒で時間がクウのが嫌だ。 …あれ、これって掃除が嫌いになるのかな? まぁいいや、どうでもいい。 俺は綺麗好きなんだ。 その時の気分で掃除をやる。 <? What is this?> 「ん?あぁー、それはお菓子だ。面白いお菓子だろ、特に表紙が」 グラディウスが指で示しているお菓子を説明する。 このお菓子は表紙を見て思わず買ってしまった。 自分でB級品のお菓子だと思ったら買ってしまうのが俺の趣味でもある。 まぁ、お菓子に限らず食い物系は見つけたら買うね。 味とか兎も角、なんたって面白いからだ、という理由で買う。 でも大抵はハズレで不味い。 金が勿体無い気もするが…。 <Is it delicious?> 「それは比較的に美味しかったぞ。その赤い袋に入ってる粉をつけると、お菓子の味が変わって味わいが二倍になる優れもののお菓子だ。手に粉がつくのは気に障るけどね」 <I see> グラディウスはトコトコと机を歩き回る。 興味に惹かれる物ばかりなのだろう。 出来てから…生まれてからまだ月日はあんまり経っていないからな。 <Oh! What is this?It is the same name as me> 「おっ!それは俺の大好きなシューティングゲームだよ」 丁度グラディウスが持っているのはPS2のテレビゲームソフトだった。 グラディウスはソフトに興味津々みたいだ。 <I want to see the manual> 「説明書が見たいって?別にいいぜ。ほら、開けてやったぞ」 <Thank you> グラディウスは取り扱い説明書を熱心に見る。 まぁそりゃそうだよな。 自分の名前がテレビゲームソフトと同じなのだから。 ていうか、グラディウスの名前の由来はそのゲームソフトからとっているんだよなぁ。 だって、武器の形がこのゲームに出てくる戦闘機の形と酷似してるんだもん。 戦闘機の名前はビックバイパーという名前だからビックバイパーでいいかなと思ったけど、それだとあまりにも捻りがないのでゲームタイトルの名前にした訳だ。 それにグラディウスという物は元々『剣』の名前だ。 それなら丁度、剣だから合うからグラディウスという名前にした理由もある。 <なぁなぁー創造主よ~> 「ん?あぁー、ネメシスかぁ。何か用か??」 机に置かれていたネメシスが声掛けてきた。 こいつはクリナーレの武器だ。 俺のオリジナル武器で一番感情が豊か過ぎるのはこいつだと思う。 自分で作っといてなんだけど。 <最近、主と会話する度に殴ってくるんだけどさぁ~。なんとかしてくれないか?> 「お前が余計な事を言うからだろ。クリナーレに『筋肉主』とか『筋肉馬鹿』とか言うからいけないんだ」 <だって本当の事じゃん> 「はぁ~っあのなぁネメシス。そこら辺は空気を読めよな。それにクリナーレだって女の子だぞ、可哀想じゃないか」 なんか剣…というか元俺のペンダントに話しかけていると変な気分だな。 でもこれはこれで斬新奇抜的な感覚でいいかもしれない。 <とにかく頼むよ~創造主> 「一応、言っといてやる」 <あんがとよ。お、なんか沙羅曼蛇が言いたそうだぞ> 「へぇ~沙羅曼蛇の奴がか。珍しいなぁ、いつも無口でなにも喋らない奴が」 <………> <ん?なになに??ほぉ~そうなのか。お前らしい考えだな> この無口な剣はルーナの武器、沙羅曼蛇だ。 …どうやら沙羅曼蛇はネメシスに語り掛けているようだ。 つーかぁネメシスの奴、よく聞こえるよな。 俺には沙羅曼蛇の声が全然聞こえないぜ。 <創造主、沙羅曼蛇の奴が『もっとルーナの事を受け入れてやれ』だって> 「別にルーナの事を拒絶してるつもりは無いけど」 <…、……> <いや、エロ方面ではいつも拒絶してるそうじゃないか> そっち方面かよ!? これはよわったぞ。 「あのな、沙羅曼蛇。ルーナの奴は俺をからかってその様子を楽しむマセガキなんだよ。お前なら解るだろ?」 <………!> <この鈍感玉無し野郎!> ドカッ! おもいっきりネメシスを叩き潰してやった。 誰が鈍感玉無しだって、誰が! <ちょっ!?なんで俺が叩かれないといけないんだよ、創造主!> 「テメェが暴言を吐いたからだろうが」 <確かに言ったが、俺はあくまでも沙羅曼蛇の通訳だぜ!俺の意思じゃないって!!> 「あ、そうか。でもどうでもいいや、ネメシスだし」 <酷すぎるぜ、創造主…> シクシクと泣くような感じで言うネメシス。 本当に豊かな奴だ。 <オールマスター> 「何だい、ライフフォース」 この片言で喋るのはライフフォースという武器はパルカの武器だ。 こいつも無口であんまり話す事が無い。 そして特徴的なのはこのなんとも言えない片言日本語だ。 ちゃんと聞いてないと何いってるのか解らなくなってしまう。 <グラディウス、限定、ヒトガタ、変形、カノウ。ライフフォース、人型、ヘンケイ、不可能> 「あ~それはだな、ライフフォース」 <………> 「俺の趣味だ」 <…オールマスター、最低> 「うわっ、なんだかそこだけ日本語になってるし。まぁ確実な理由はあいつだけはシステム的に人型変形できるんだよ、何故かな」 <………> 「本来ならお前等だって変形させてあげたかったけど、システム的にに出来ないんだよ。ワリィなぁ」 ペコリと頭を下げる。 すると、ライフフォースが少し感情がある声で。 <…オールマスター、悪く、ナイ> 「サンキュー、そう言ってくれると幾分か楽になるよ」 <一所懸命、ハタラク、オールマスター> 「…はいはい、頑張って働かしてもらいます。たく、ちゃっかりしてやがるよな。本当にこいつは感情がないのか?」 <………> 俺が疑問に吹っかけるとすぐにいつもの静かなライフフォースに戻ってしまった。 この野郎、いい度胸してるじゃねーかぁ。 あ、話が夢中になちゃっていてすっかり煙草の長さ短くなっていてしまった。 あぁ~あ、高いのに…もったいないなぁ。 煙草の箱から一本取り出し愛用のジッポで火をつける。 確か明日にアンジェラスのメンテナンスが終わるだったよな。 …つー事は、明日からまたアンジェラスの居ない所で吸わないといけないのかよ。 だぁ~、メンド~だな。 <My master troubles you. I m sorry> 「煙草の事か?気にするな、グラディウス。あいつは俺の身体の事を考えてやってるだけだから、お前が謝る必要ないよ」 そう言いながらグラディウスの頭を撫でる。 少し顔を赤めるグラディウス。 可愛い奴だ。 「さって、と。あいつ等が帰ってくるまでに大学のレポートでもやるか」 <An effort> 努力…ね。 それは俺が嫌いな言葉ベストスリーに入る言葉だぜ、グラディウス。 でもまぁ、こんな日がたまにあってもいいかな。 こうしてアンジェラス達が帰ってくるまで俺はレポートと格闘しながらこの日は終わった。